1992 Fiscal Year Annual Research Report
PタイプATPエースの活性部位ペプチドの大量発現と結晶化によるドメイン構造の解明
Project/Area Number |
04266203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
太田 敏子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40233134)
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Keywords | ATPエース / 活性部位 / 遺伝子発現 / 結晶化 |
Research Abstract |
本研究では、ATPaseの部分である活性部位領域のペプチドを遺伝子導入による大腸菌の発現系で大腸菌内に大量発現させて精製し、結晶化を試みた。その研究成果の概要は下記のとおりである。 (1)シビレエイNa,K-ATPaseαサブユニットでは膜挿入領域であるM4とm5の間に膜外と推定される領域にATP結合部位が含まれている。この活性部位領域をコードするDNAを得るために、Na,K-ATPaseαサブユニットの遺伝子クローンから近傍の制限酵素部位BamHlとTthlllIで切断して、約1.3kbpのDNA断片を得た。この断片の5'側の活性部位領域より不足している59塩基対を合成し、1.3kbp断片とともに大腸菌の発現ベクター(pUC119)に挿入し、プラスミドDNA(pUC/AS19)を構築した。さらに、発現した蛋白質の精製を容易にするため、このプラスミドDNAから活性部位DNAのみを切出し、マルトース結合蛋白質(MBP)と挿入遺伝子産物との融合蛋白質を発現するベクター(pMAL-c2)に挿入し、プラスミドDNA(pMAL/AS-7)を構築した。構築した2つのプラスミドには正の方向に活性部位をコードする領域が挿入されていた。 (2)これら構築したプラスミドを大腸菌に導入し、遺伝子産物を発現させた。その結果、pUC/AS19プラスミドの発現産物は出来なかったが、pMAL/AS7プラスミドの発現産物である融合蛋白質は分子量、約90kDaのタンパク質としてプロテアーゼ欠失株である大腸菌PR745で大量に誘導され発現された。この融合蛋白質はウェスタンブロットによりNa,K-ATPaseの抗体と反応することからNa,K-ATPaseとMBP含んでいることが判った。発現した融合蛋白質は、その大腸菌の溶解物中では封入体を形成し不解物であった。そこで、その封入体を6Mウレアで可溶化した後、アミロースアフィニテイーカラムにかけ、大量に精製した。アミノ酸配列 -lle-Glu-Gly-Arg を認識するプロテアーゼ(Facter Xa)で融合蛋白を消化し、Na,K-ATPaseの活性部位ペプチドを精製している。 (3)結晶化の条件などを検討中である。
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