1992 Fiscal Year Annual Research Report
バフィロンマイシンによるジフテリア毒素の細胞内輸送・分解機構の解析
Project/Area Number |
04266222
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
目加田 英輔 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20135742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬田 敏幸 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (30213482)
岩本 亮 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (10213323)
常岡 誠 久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (50197745)
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Keywords | ジフテリア毒素 / 酸性化 / H^+-ATPase / バフィロマイシン / エンドソーム |
Research Abstract |
ジフテリア毒素は、細胞膜のリセプターに結合し、エンドサイトーシスによってエンドソームに取り込まれ、最終的にはそのAフラグメントが細胞質に達して毒性を発揮する。我々は液胞型H^+-ATPase(V-ATPase)の阻害剤であるバフィロマイシンA1を用いてエンドソームの酸性化とジフテリア毒素の毒性発現の関係について調べた。Vero細胞の細胞内小胞の酸性化は、バフィロンマイシン500nMを細胞培養液に加えることでほぼ完全に抑えられた。同じ細胞で、ジフテリア毒素の細胞毒性に対する効果を調べたところ、バフィロマイシンはジフテリア毒素の毒性を完全に阻害し、ジフテリア毒素が毒性を示すために細胞のV-ATPaseが必須であることが明らかになった。次に、^<125>I標識ジフテリア毒素を用いて、バフィロマイシンによる阻害が毒素の細胞内侵入過程のどのステップであるかを調べた。ジフテリア毒素の細胞への結合、インターナリゼーションはバフィロマイシンによって全く影響を受けなかった。しかし、バフィロマイシンの存在下では、ジフテリア毒素はエンドソーム内に多量に蓄積することが明らかになった。バフィロマイシンは、エンドソームの酸性化を抑えることによって、ジフテリア毒素のエンドソーム膜の通過を阻害すると同時に、ジフテリア毒素の細胞内分解過程も阻害していると考えられる。現在、エンドソームから細胞質へのジフテリア毒素の通過を解析するためのsemi-intact系の開発を行っている。そのために、ジフテリア毒素リセプターのcDNAを細胞にトランスフェクションして、ジフテリア毒素リセプターを通常より約20倍多く発現した細胞を作製した。現在、この細胞を用いて、semi-intact系の確立を目指している。
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[Publications] Tsuneoka,M.: "Degradation of a nuclear-localized protein in mammalian COS cells using Escerichia coli beta-galactosidase as a model protein." J.Biol.Chem.267. 9107-9111 (1992)
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[Publications] Mitamura,T.: "The 27-kD diphtheria toxin recrptor-associated protein(DRAP27) from Vero cells in the monkey homologue of human CD9 antigen: Expression of DRAP27 elevates the number of diphtheria toxin receptors on toxin-sensitive cells." J.Cell Biol.118. 1389-1399 (1992)