1992 Fiscal Year Annual Research Report
ラット中枢神経での伝達物質放出抑制に関わる細胞内情報伝達機構のクロストーク
Project/Area Number |
04267202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三宅 教尚 北海道大学, 薬学部, 助教授 (30133771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏柳 誠 北海道大学, 薬学部, 助手 (20169436)
中山 仁 北海道大学, 薬学部, 助教授 (70088863)
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Keywords | 伝達物質放出 / シナプス前抑制 / Ca-チャネル / K-チャネル / Gタンパク質 / 細胞内情報伝達機構 / クロストーク / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
多種類の抑制性伝達物質によるKチャネルの活性化とCaチャネルの抑制が、シナプス前部での伝達物質放出の抑制をひきおこす。我々はこれまでに、ラット新生児脳より単離した青斑核(LC)神経細胞でμオピオイドアゴニスト、ソマトスタチンおよびαアゴニストが、それぞれの受容体およびG-タンパク質を介して同一のKチャネルを支配していることを単一Kチャネルの解析より示した。本研究では、これらの伝達物質が同標本において電位依存性Caチャネルを抑制しているかどうかを検討した。 送離直後のLC神経細胞にパッチクランプ・ホールセル法を適用し、最大数nAの主として高閾値(HVA)型Caチャネル(Ba)電流を測定した。このHVA型Caチャネル電流は、35秒の長い脱分極刺激(10mV)によってほぼ0にまで不活性化し、この不活性化過程は3つの異なった時定数を持つ指数関数の和でよく記述できた。ソマトスタチンおよびμオピオイドアゴニストのDAGOは、もっとも速い時定数(150-200mS)で不活性化するHVA型の電流成分をほぼ選択的に抑制した。また、細胞内より適用したGDP-βSがこれらの抑制を解除し、N型Caチャネルのアンタゴニストであるωコノトキシン存在化(1μM)では両伝達物質によるCaチャネルの抑制は観測されなかった。 以上の結果は、これらの抑制性伝達物質がGタンパク質を介してKチャネルと共にN型Caチャネルを調節していることを示している。これらの現象の細胞内情報伝達過程に関与するGタンパク質のサブクラスの同定や、セカンドメッセンジャーの関与の有無などが今後の課題である。
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