1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格系による中枢シナプス機能発現に分子機作に関する研究
Project/Area Number |
04267213
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 謙一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
田中 潤也 大阪大学, 医学部, 助手 (70217040)
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助手 (70223237)
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Keywords | 神経成長円錐 / p60^<c-src> / PC12 / アクチンフィラメント / カルシウムイオン / ゲルゾリン |
Research Abstract |
神経成長円錐におけるp60^<c-src>は神経系において特に豊富に発現しているが、その生物学的意義は殆ど明らかになっていない。今回我々は神経系におけるp60^<c-src>の役割を探るため、ラット脳内での細胞下分画を特に細胞骨格との関連について詳細に検討した。先に我々が、PC12細胞を用いて明らかにしたようにp60^<c-src>は新生ラット脳の成長円錐分画に豊富に存在した。膜分画に局在するp60^<c-src>は幼若ラット脳においては非イオン性界面活性剤(NP-40)に対して可溶性であるが、脳成熟に伴い不溶性分画に移行した。不溶性分画への移行はアクチンフィラメントへの結合によって生じているものと考えられた。また、アクチンフィラメントへの結合は直接結合ではなく未同定の蛋白質を介していると推測され、免疫沈降と蛋白質リン酸化実験との組合せにより38kDaの蛋白質(p38)がp60^<c-src>と生体内で複合体を形成している可能性を示した。更に、成長円錐の膜分画では120kDaの蛋白質(p120)がその複合体形成に関与している可能性がある。 ゲルゾリンの神経成長円錐への集積我々はアクチンフィラメント切断蛋白質であるゲルゾリンが神経系においては、おもにオリゴデロサイトとシュワン細胞に局在しミエリン形成に関わっていることを示した。しかし、成長円錐の活動が活発な幼若なラット脳では神経細胞にゲルゾリン免疫活性が強く観察される。この観察から、ゲルゾリンは成長円錐の運動性及びCa^<2+>感受性に関与していることを予測した。PC12細胞をNGF存在下で培養し抗ゲルゾリン抗体で染色すると、ゲルゾリンの免疫活性は細胞体と神経突起先端部の成長円錐、特に糸状突起に著明に局在していた。この結果は糸状突起のCa^<2+>依存性の活発な伸縮運動にゲルゾリンが関与していることを示すものである。
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[Publications] Kitagawa,K.: "The synapsin I brain distribution in ischemia." Neuroscience. 46. 287-299 (1992)
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[Publications] Hayashi,K.: "Genomic structure of the human caldesmon gene." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 89. 12122-12126 (1992)
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[Publications] Tanaka,J.: "Morphological and biochemical analyses of contractile proteins(actin,myosin,caldesmon and tropomyosin)in normal and trnasformed cell." J.Cell Sci.(1993)