1992 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス伝達の長期増強におけるグルタミン酸受容体とプロテインキナーゼCの役割
Project/Area Number |
04267214
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 千賀子 神戸大学, 医学部, 教授 (20025571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 尚亮 神戸大学, 医学部, 講師 (60178499)
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Keywords | グルタミン酸 / プロテインキナーゼC / 分子種 / NMDA受容体 / シナプス前部 |
Research Abstract |
記憶、学習の実験モデルであるシナプス長期増強現象において、タンパク質燐酸化反応が重要な役割を果たしていることはすでによく知られている。特にカルシウム依存性の燐酸化酸素の一つであるプロテインキナーゼCは、その活性化剤であるホルボールエステルが長期増強様現象を誘導する事実、プロテインキナーゼCのシナプス後細胞への注入によって長期増強が発現すること、プロテインキナーゼC阻害剤によって長期増強の発現が抑制されることなどから、長期増強の発現に必須の酵素であると考えられている。我々はプロテインキナーゼCには複数の分子種が存在し、各々脳内分布、細胞内局在が異なっていることを明らかにしてきた。海馬においても、カルシウム依存性の分子種であるα、βII、γ分子種が存在するが、いずれの分子種も神経終末にはほとんど認められず、グルタミン酸シナプスが存在するDendritic spineにはαとγ分子種だけが認められた。グルタミン酸受容体のうち、アフリカツメガエルに発現させたNMDA受容体はプロテインキナーゼCによって、活性化されカレントの増強が起こることが報告されている。NMDA受容体がシナプス後部にあることから、このNMDA受容体の活性制御を行っているプロテインキナーゼC分子種はαあるいはγ分子種であることが示唆される。一方、プロテインキナーゼC活性化によって、シナプス前部からのグルタミン酸遊離が上昇する事が長期増強の維持相にとって、重要であるとも言われている。シナプス前部に存在するプロテインキナーゼC分子種を探索した結果、カルシウム非依存性分子種であるε分子種がシナプス後部よりむしろ神経終末、軸索などのシナプス前部に存在することが明らかとなった。これらの結果から、シナプス前後と後部において異なったプロテインキナーゼC分子種が、長期増強に関与している事が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kuno: "Distinct cellular expression of calcineurin Aα and Aβ in rat brain." J.Neurochem. 58. 1643-1651 (1992)
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[Publications] H.Shuntoh: "Molecular structure of the Cβ catalytic subunit of rat cAMP-dependent protein kinase and differential expression of Cα and Cβ isoforms in rat tissues and cultured cells." Biochim.Biophys.Acta.1131. 175-180 (1992)
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[Publications] T.Kuno: "cDNA cloning of a neural visinin-like Ca(2+)-binding protein." Biochem.Biophys.Res.Commun.184. 1219-1225 (1992)
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[Publications] T.Takaishi: "Evidence for distinct neuronal localization of γ and δ subunits of Ca(2+)/calmodulin-dependent protein kinase II in the rat brain." J.Neurochem.58. 1971-1974 (1992)
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[Publications] T.Hashimoto: "The loss of βII-protein kinase C in the striatum from patients with Huntington's disease." Brain Research.585. 303-306 (1992)
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[Publications] C.Tanaka: "Localization of subspecies of protein kinase C in the mammalian central nervous system." Neurochem.Int.21. 499-512 (1992)