1992 Fiscal Year Annual Research Report
心身問題(心脳問題も含む)と倫理に関する基礎的研究
Project/Area Number |
04301005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱井 修 東京大学, 文学部, 教授 (00012360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 敏男 茨城大学, 教養部, 助教授 (10198161)
高幣 秀知 北海道大学, 文学部, 助教授 (00146995)
山田 忠彰 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (10220386)
湯浅 弘 東京大学, 文学部, 助手 (10230608)
関根 清三 東京大学, 文学部, 助教授 (90179341)
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Keywords | 心身問題 / 倫理 / 鏡像体験 / 法システム / 道徳システム / 性 / フェミニズム / 家族 |
Research Abstract |
研究計画の初年度に当たる今年度、本研究は、心身問題と倫理に関する基本的な問題点を洗い出すために、各個別分科会を中心に近代哲学の心身論の学説的な整理を行い、その成果を全体研究会で検討するという方式で研究が進められた。全体研究会で報告・討議が重ねられた具体的な研究成果としては次のようなものが挙げられる。 1研究分担者の中野敏男は、近代における法システムと道徳システムの発達を相関的に捉えるという視点から、心身問題を捉え直すという趣旨の報告をした。これは、心身問題を社会的な視点から捉え直そうとするもので、心身問題と倫理に関する新たな視点を提示したものとして全体研究会でも活発な議論を呼んだ。 2研究分担者の船木享は、フランス近代哲学の心身論に関連して、鏡像を通しての自己認知という問題に焦点を当てた報告を行った。幼児期の鏡像体験を手がかりとしたこの議論でも、鏡像体験を通じた自己認知が社会的なものに媒介されていることが確認された。 3研究分担者の細谷実は、フェミニズムを取り上げ、性や家族といった具体的な場面を念頭に置きつつ、心身問題を捉える視点を提示した。細谷の議論は、往々にして性差の問題を無視する傾向にあった近代哲学の普遍主義的な人間観に対する批判をも含意するもので、心身問題と倫理を現代において理論的に討究しようとする際に性の問題が捨象し得ない重要性を持つものであることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 濱井 修: "価値相対主義の帰趨" 哲学雑誌. 107-779. 32-48 (1992)
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[Publications] 湯浅 弘: "ニーチェ的実存の遺産" 理想. 650号. 41-51 (1992)
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[Publications] 川本 隆史: "自己所有権とエンタイトルメント" 法哲学年報. (1992)
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[Publications] 中野 敏男: "『制度としての法』と討議の手続き" 法社会学. 44. (1992)
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[Publications] 横田 理博: "ウェーバーにおける「ルサンティマン」概念のゆくえ" 社会学評論. 170. (1992)