1994 Fiscal Year Annual Research Report
社会階層の現代的構造に関する理論的および実証的研究
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04301016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 俊樹 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10221285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 一治 流通経済大学, 社会学部, 助教授 (20180028)
松本 康 名古屋大学, 文学部, 助教授 (80173920)
鹿又 伸夫 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (30204598)
志田 基与師 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (90178872)
宮野 勝 中央大学, 文学部, 助教授 (30166186)
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Keywords | 社会階層 / 社会移動 / 階層としての女性 / 公平感 / 心理的メカニズム / 数理社会学 / 歴史的視座 / 近代日本 |
Research Abstract |
本年度は前年度の理論的な研究作業をふまえて、具体的なデータを使って、階層の現代的構造を明らかにするための方法論的な考察と、実証的な分析作業を行った。階層の現代的構造にとって特に重要なのは、女性、価値観の多様化、および社会全体の職業構造の歴史的展開であり、本年度は特にこの三つの中心的テーマとして研究を進めた。 まず女性に関しては、フェミニズムなどでイデオロギー的・価値没入的に語られやすい「階層としての女性」について、慎重な理論的な考察の上にたって、いかなる意味で「階層としての女性」を論じうるかを解明し、大規模調査における設計および分析の指針を示した。 次に価値観の多様化については、静岡市での調査結果を踏まえて、現代社会における公平感・不公平感がどのような心理的メカニズムで形成されていくのか、そのプロセスを実証的に示した。他方、公平感一般に関する数理社会学的アプローチも試み、公平感の数学的定式化と、微分方程式系やニューラルネットなどの手法の利用可能性を示した。 第三の歴史的形成過程については、1965年に実施された階層・移動調査の再コード化作業をふまえ、企業帰属のあり方、学歴達成に関わる諸要因、農村から都市への移住の様態が歴史的にどう変化していったかを追跡した。本研究の結果、これらの基本的な構造は戦後に形成され、歴史的にはごく短期間しか存立していないことが、たんなる制度研究をこえて、個人レベルの移動データの上ではじめて明らかにされた。 さらに、以上の点をふまえ、今後の階層構造の研究がいかなる点にむかうべきか、その際に解決すべき理論的・実証的課題は何であるかを、総合的に考察した。
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[Publications] 盛山和夫: "階層研究における「女性問題」" 『理論と方法. 16. 111-126 (1994)
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[Publications] 近藤博之: "世代間移動と教育の自律性" 理論と方法. 16. 127-142 (1994)
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[Publications] 佐藤俊樹: "世代間移動における供給側要因" 理論と方法. 16. 171-186 (1994)
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[Publications] 粒来香・佐藤俊樹: "戦間期日本における中等教育の社会的位置" 教育社会学研究. 56(印刷中). (1995)
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[Publications] Kosaka Kenji(ed.): "Social Stratification in Contemporary Japan" Kegan Paul International, 220 (1994)