1994 Fiscal Year Annual Research Report
国際化にともなう日本社会の構造変動と社会意識の動向--地域・階層格差と国際感覚の成熟度を中心に--
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04301017
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
庄司 興吉 東京大学, 文学部, 教授 (30061203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 孝正 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80004117)
矢澤 修次郎 一橋大学, 社会学部, 教授 (20055320)
古城 利明 中央大学, 法学部, 教授 (70055185)
犬塚 先 千葉大学, 教養部, 教授 (70009752)
元島 邦夫 埼玉大学, 教養部, 教授 (20008907)
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Keywords | 社会構造 / 社会意識 / 関西国際空港 / 関西地域浮揚策 / 住民意識 / 阪神大震災 / 国際化 / 国際協力 |
Research Abstract |
昨年度までの実績をふまえて、平均して月2回のペースで研究会を続け、住民意識調査のデータ解析を行うとともに、大阪地域の3回目の調査を実施し、現代日本の社会構造と社会意識の全貌を把握しようと試みた。とくに今年度は関西国際空港開港の年であったので、全員が大阪調査に集中し、まずそこから調査報告をまとめるべく努力した。 大阪調査の全体をつうじて明らかになったのは、首都圏の場合とは対照的に意識的に民間主導で進められてきた関西地域浮揚策の、政治的文化的に個性豊かな積極面と技術的経済的に経営困難な消極面とのコントラストである。これは、関西のめざす「双眼型国土形成」が東京一極集中の流れに抗して行われねばならぬ以上、かなりの程度まで不可避の矛盾であるが、われわれが調査したかぎり、この矛盾を根本的に解決する展望は経営者団体や自治体あるいはそれらの協議機関にも現れていない。そのため関西地域の自己浮揚策は、しばしば「イベント型の連続」などといわれるような、一回生起的で不安定な側面をもたざるをえなくなっている。今年1月になって阪神地域が大震災に見舞われたが、この事件が関西地域の長期的浮揚策にいかなる影響を及ぼしていくか、なお今後が注視されなければならないであろう。 日本全体の社会構造と社会意識については、世界経済の情報化と円高のなか構造改善を要求されている企業システムと、高齢化と少子化による社会問題をかかえる家族・生活体とを基礎に、やみくもに「国際化」しようとする文化装置のかたわら、「国際協力」などについて確固とした道が見いだせず、ますます混迷の度を深めていく政府システムの姿が鮮明になってきた。これについては、大阪調査の報告、住民意識調査の報告に次いで、研究成果を刊行する予定である。
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