1992 Fiscal Year Annual Research Report
国際理解教育の理論的枠組と学習内容に関する国際的比較研究
Project/Area Number |
04301035
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
樋口 信也 国立教育研究所, 国際研究協力部, 室長 (40132691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹森 健 青山学院大学, 文学部, 教授 (60082632)
加藤 幸次 上智大学, 文学部, 教授 (00000084)
天野 正治 筑波大学, 教育学系, 教授 (50000055)
井上 星児 国立教育研究所, 企画調整部, 室長 (70223253)
梶田 美春 国立教育研究所, 生涯学習研究部, 室長 (30110092)
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Keywords | 国際理解教育 / 多文化教育 / グローバル教育 |
Research Abstract |
中間報告として三つの点を指摘しておきたい。 第一に、多くの国で国際理解教育の教育方針が、学校教育の基本的な教育目的と合致していることである。例えば、オーストラリアにおける多文化教育の学習目標は、「オーストラリアの多文化社会に参加する良き市民を育成する」学校の教育目標と深くかかわっている。 第二に、国際化が進行する中で、多くの国では国内問題と国際問題が表裏一体の関係となり、国際理解教育の視点が必要不可欠なものとなりつつある。たとえば、オーストラリアの「多民族の共生」という国内政策は、オーストラリアの相対的な英米離れと、アジア・太平洋地域の経済圏のメンバーになろうとする「脱欧入亜」という対外政策と無関係ではない。いわば、オーストラリアの「外なる国際化」が「内なる国際化」を呼び覚ましたのである。 このような「外」と「内」の一体化は、多くの国で同時進行の形で起りつつある。 第三に、国際理解教育は、世界的な展望の中で自国のイメージについて再解釈する道を開き、将来へ向けて新しい国家観を構築する役割を果たしつつある。例えば、オーストラリアの多文化主義では、白豪主義の衰退から多文化主義が起る社会的な変化は、オーストラリアの自己イメージが、「古いオーストラリア」から「新しいオーストラリア(60年代後期以後)」へと変化した。このように、近年の国際理解教育は、多くの国で「自国イメージや自己アイデンティティについて変革」をもたらす役割を担いつつあり、新しい国家観について、その方向や内容を提示することが求められている。
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Research Products
(2 results)