1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパの法発展におけるethnosとnatio
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04301060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 武 北海道大学, 名誉教授 (20000648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 紫郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (00009797)
村上 淳一 東京大学, 大学院法学政治学研究所, 教授 (80009795)
成瀬 治 成城大学, 文芸学部, 教授 (70011278)
山田 欣吾 一橋大学, 経済学部, 教授 (70017523)
小菅 芳太郎 北海道大学, 法学部, 教授 (00000654)
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Keywords | ゲルマン人 / ゲルマン法 / 部族 / 比較法史 / 「ドイツ的自由」 / ナツィオン意識 / 初期歴史主義 / ドイツ法的ゲノッセンシャフト |
Research Abstract |
本年度は初年度のため、研究史と研究状況の把握に努めた。 古代史・古代法関係では、文献学・孝古学・民族学における「ゲルマン人」概念の乖離とその結果としての同概念の不明確性が明らかにされた。 また、中世史・中世法については、部族集団の形成における口承伝承の有する意義、「部族大公領」と呼ばれてきた政治的集団の成立にあたって教会組織建設の有した意義などの点につては共通の理解がえられ、この時期のエスニックな性格を持つものとして理解されてきた諸集団の後発性・二次的性格が明らかにされた。また、中世後期については、nation意識の成立の諸条件が、ドイツ・フランスそれぞれの固有の歴史に即して検討された。 近代史・近代法に関しては、ゲッティンゲン大学を中心に発展した初期歴史主義におけるドイツ国制の固有性に関する考え方の展開過程を跡づけることができたが、一般に18世紀以前の文献の入手は因難で、今後更に資料の収集が必要である。 また、ミュンヒェン大学のペーター・ランダウ教授を迎えての研究会においては、比較法史学の方法論的基礎との関連で、法現象が有する意義の異なる諸社会間における比較の可能性、共時的通時的な意味で一般的な法概念の構成の問題など、最も基本的な諸問題について、現実の研究作業のレヴェルまで降りて、意見を交換した。しかしこのような諸問題について何らかの結論が得られたわけではない。
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[Publications] 石川 武: "Alexander Ignor,Uber das allgemeine Rechtsdenkes Eikes von Repgow,1984(学界展望〈中世ヨーロッパの法と国制〉の一部)" 国家学会雑誌. 105巻9・10号. 161-165 (1992)
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[Publications] 石川 武: "「中世法と近代法」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1993)
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[Publications] 小菅 芳太郎: "Wieacker,Romische Rechtsgeschichte,1988(学界展望〈ローマ法学史〉の一部)" 国家学会雑誌. 105巻3・4号. 137-140 (1992)
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[Publications] 林 信夫: "G.I.ルッツァット『ギリシア・ラテン法律碑文学』VI" 専修法学論集. 58巻. 231-252 (1993)
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[Publications] 佐藤 彰一: "7世紀後半トゥールの「会計文書」--パリ国立図書館新収ラテン写本2654番について--" 名古屋大学文学部研究論集史学. 38巻. 41-56 (1992)
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[Publications] 佐藤 彰一: "Jean Durliat,Les finances publiques de Diocletien aux Carolingiens(284-889),Sigmaringen1990(学界展望〈中世ヨーロッパの法と国制〉の一部)" 国家学会雑誌. 105巻9・10号. 152-154 (1992)
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[Publications] 平城 照介: "(書評)世良晃志郎「西洋中世法の理念と現実」" 法制史研究. 42巻. (1993)
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[Publications] 西川 洋一: "「中世ドイツの国制」「ゲルマン法学・法史学・国制史学」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1993)
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[Publications] 西川 洋一: "(書評)世良晃志郎『西洋中世法の理念と現実』" 史学雑誌. 101巻3号. 111-123 (1992)
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[Publications] 西川 洋一: "(書評)若曽根健治『Nocivus Terraeの概念について--12・13世紀の立法例から--(1)(2)(3完)』" 法制史研究. 42巻. (1993)
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[Publications] 山田 欣吾: "教会から国家へ--世俗化過程としてのヨーロッパ国家形成史--" 山田欣吾『教会から国家へ』(創文社). 1-18 (1992)
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[Publications] 山田 欣吾: "国王・大公・教会--カロリンガー後期からオットーネン初期の国制をめぐって--" 山田欣吾『教会から国家を』(創文社). 193-281 (1992)
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[Publications] 山田 欣吾: "「叙任権闘争」とレガリア--パスカリス二世の特権状(1111年)を中心として--" 山田欣吾『教会から国家へ』(創文社). 345-393 (1992)
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[Publications] 田口 正樹: "Friedrich Battenberg,Reichsacht und Anleite im Spatmittelalter,1986(学界展望〈中世ヨーロッパの法と国制〉の一部)" 国家学会雑誌. 105巻9・10号. 165-168 (1992)
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[Publications] 成瀬 治: "「身分制」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1993)
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[Publications] 成瀬 治: "神聖ローマ帝国の理念と現実" 国際交流(国際交流基金). 61. (1993)
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[Publications] 村上 淳一: "ポストモダンの法理論" 岩波講座「社会科学の法方」. 6巻. (1993)
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[Publications] 村上 淳一: "「市民社会と市民法」「所有権」「経済法」「現代法」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1992)
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[Publications] 小川 浩三: "「ローマ法の継受」「契約」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1993)
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[Publications] 石部 雅亮: "「自然法的諸法典」「法人格・団体法」「家族法・相続法」「法学教育・法曹養成・法律家」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1993)
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[Publications] 和田 卓朗: "「紀律化と刑法」「租税」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1993)
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[Publications] 和仁 陽: "「基本権」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1993)
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[Publications] 和仁 陽: "サヴィニー・ギュンターローデ・クライスト--日のモデルネ対法のモデルネ!?(発表予定)" 海老原明夫編『法の近代とポストモダン』(東京大学出版会). (1993)
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[Publications] WANI,Akira: "(書評)R.Mehring:Pathetisches Denken;B.Ruthers:Carl Schmitt im Dritten Reich(2.Aufl.)" Zeitschrift fur Neuere Rechtsgeschichte. 15. (1993)
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[Publications] WANI,Akira: "(書評)H.-G.Flick2nger:Autonomie des Politischen" Zeitschrift fur Neuere Rechtsgeschichte. 15. (1993)
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[Publications] 山田 欣吾: "『教会から国家へ』(西洋中世国制史の研究I)" 創文社, 398 (1992)
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[Publications] 山田 欣吾: "『国家そして社会』(西洋中世国制史の研究II)" 創文社, 409 (1992)
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[Publications] 村上 淳一: "仮想の近代--西洋的理性とポストモダン" 東京大学出版会, 184 (1992)
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[Publications] 石部 雅亮,村上 淳一: "ドイツ近代法史辞典" 東京大学出版会, (1993)
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[Publications] 石井 紫郎,水林 彪: "法と秩序" 岩波書店, 581 (1992)