1992 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境法制の総合的再構築ー国際的動向をふまえたわが国法制の改善の提言
Project/Area Number |
04301062
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阿部 泰隆 神戸大学, 法学部, 教授 (80030617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩間 徹 福岡大学, 法学部, 教授 (00134875)
北村 喜宣 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (20214819)
大塚 直 学習院大学, 法学部, 助教授 (90143346)
畠山 武道 北海道大学, 法学部, 教授 (40062666)
磯崎 博司 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (40106597)
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Keywords | 行政法 / 環境法 / 国際法 / 野生生物 / 自然公園 / 規制 / 経済的手法 / 市民参加 |
Research Abstract |
各自の研究と合宿における報告・討論・視察・ヒアリングなどによって、今年度は、以下のような成果を得ることができた。初年度の作業の多くの部分は、外国法制度の現状の把握にあてられている。たとえば、アメリカにおける野生生物の取引規制制度においては、捕獲・輸入・売却・所持など規制の網が広く、また、違反に対する制裁が厳しい。これは、わが国の法制度と比較しても顕著である。国立公園制度をみると、管理における一般市民の地位が重視されており、政策決定過程における民主的性格が特徴的であった。フランスにおいても、環境保護において市民参加が制度化されていることは多いようであり、国際的動向といえよう。また、計画による管理という発想も共通している。スウェーデンの景観保護制度のように、公共的目的の達成のために、市民に具体的な義務を課す仕組みもみられる。 国際法は種々制定されており、わが国が締約国となっているものも少なくないが、たとえば、ワシントン条約とその国内措置をみてもわかるように、必ずしも条約の趣旨の通りに国内法が整備されているのではなく、今後、実効性の確保のために、改善が求められる点が多くある。種の多様性に関する諸条約と国内法のように、いろいろな価値の間の調整をどのような基準によってするかという問題もある。 国内法では、一応の制度がある場合でも、地権者の反対で保護が進まないなどの問題がある。このあたり、外国の制度を参考にして、費用分配の合理性などを考慮に入れつつ、わが国の法制度で実現可能な仕組みを、来年度の研究を通じて提案していきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 阿部 泰隆: "自然環境保全の法的手法:その欠陥と改善策" ジュリスト. 1015号. 90-100 (1993)
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[Publications] 畠山 武道: "新しい環境概念と法" ジュリスト. 1015号. 106-111 (1993)
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[Publications] 大塚 直: "公害・環境の民事判例:戦後の歩みと展望" ジュリスト. 1015号. 248-257 (1993)
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[Publications] 北村 喜宣: "公害・環境の行政判例:戦後の歩みと展望" ジュリスト. 1015号. 258-262 (1993)
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[Publications] 磯崎 博司: "武力粉争時の環境保護に関する国際法制度:人道法と環境法との連携" 環境研究. 89号. 1-13 (1993)