1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04301067
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田口 富久治 名古屋大学, 法学部, 教授 (50061841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 孝之 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (30002140)
坪郷 實 北九州大学, 法学部, 教授 (20118061)
加藤 哲郎 一橋大学, 社会学部, 教授 (30115547)
若松 隆 中央大学, 法学部, 教授 (90055244)
小野 耕二 名古屋大学, 法学部, 教授 (70126845)
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Keywords | ヨーロッパ連合 / 市場統合 / 政治統合 / 福祉国家の再編 / 緑の党 / 国民国家の相対化 |
Research Abstract |
(1)現在EC統合は、1992年2月に調印された「ヨーロッパ連合に関する条約(マーストリヒト条約)」を画期として、新たな局面を迎えつつある。本研究は、こうしたEC統合の現状を全体として把握するために、その「完成」(市場統合)、「深化」(経済・政治統合へ向けての試行錯誤)、「拡大」(例えばEFTA諸国との間で形成される欧州経済領域EEA、あるいは旧ソ連、東欧諸国との連合協定)の三つの側面の総合的理解が必要であるとの共通認識を確立し、それぞれの側面について、また三者間の関係についての理解を深めた。 (2)EC統合過程の中核となる域内大国(独、仏、英)はもちろん、その他の域内中・小諸国、さらには域外近隣諸国までをも含めて、EC統合過程と各国の国内政治の変容との相互作用を検証した。経済問題のみならず、ヨーロッパ規模の環還問題、民族問題、あるいは福祉国家の再編といった政治争点を題材として具体的に分析を進めた結果、新しい政党(緑の党、あるいは極右政党ないし民族・地域政党)の参入、即成諸政党の戦略転換(典型的にはドイツ社民党の綱領改正)などの各国の政治変容が、EC統合過程の影響との関係において、その共通性と各国の固有性の両側面から把握されるに至った。 (3)政治組織としてのECは、その超国家的な地域機構としての性格を深めつつあり、国家主権の観念を中心とする近代国民国家の地位を揺らがせている。そこで本研究では、国家に対する下からの挑戦(国家の下位単位としてのサブナショナルないしエスニックな諸集団の政治的・経済的主張の高まりと運動の組織化)をも考慮にいれながら、EC統合過程の展開を、国民国家の機能の相対化という観点から把握することの重要性を確認し、その過程を分析すると同時に国民国家の将来の姿をを展望した。
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[Publications] 小野耕二: "ドイツ「緑の党」のEC政策" 名古屋大学法政論集. 150. 105-144 (1993)
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[Publications] 小野耕二: "ドイツ社会民主党のEC政策" 名古屋大学法政論集. 145. 1-40 (1993)
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[Publications] 宮本太郎: "スウェーデンにおけるコーポラティズムと労働戦略-スウェーデン・モデルの形成-" 立命館法学. 223-224. 718-753 (1993)
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[Publications] 伊東孝之: "多元的民主主義の制度化-東欧諸国の経験1989〜92年-" ロシア研究. 16. 5-39 (1993)
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[Publications] 加藤哲郎: "現代マルクス主義とリベラリズム" レヴァイアサン. 13. 168-193 (1993)
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[Publications] 後房雄: "西欧左翼の模策とイタリア左翼民主党-左翼再生の可能性についての覚書き-" 名古屋大学法政論集. 150. 145-205 (1993)
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[Publications] 小野耕二: "年報政治学1993-EC統合とヨーロッパ政治" 岩波書店, 261 (1993)
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[Publications] 小野耕二: "現代政治の体制と運動" 青木書店, 384 (1994)