1993 Fiscal Year Annual Research Report
日本労使関係と女子労働-生産と再生産の構造的分析視角からの歴史的実証的研究
Project/Area Number |
04301073
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
服部 良子 大阪市立大学, 生活科学部, 助手 (80198770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 敬子 成蹊大学, 文学部, 助教授 (80206945)
塩田 咲子 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (20154172)
久場 嬉子 東京学芸大学, 教授 (50014808)
竹中 恵美子 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (10046881)
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Keywords | 家事労働 / 女子労働 / 家父長制 / リプロダクション / ニューワーク / フェミニズム / 労働力の再生産 / 無償労働 |
Research Abstract |
本研究は日本資本主義の中で女子労働がどのように変貌したかについて、高度産業化がもたらす先進資本主義に共通な変容とともに、日本に特殊な構造を明らかにすることを目的としていた。時期区分は戦後復興期から高度成長期および低成長への転換後の経済のリストラクチャリング段階に焦点を当てて、日本的経営を女子労働の視点からとらえ直すことを作業の主眼とした。すなわち、日本的経営を、労働力再生産の場=家庭における無収入労働(家事労働)がどの様に支えてきたかの構造的分析に取り組んだ。これについては、各研究者が、それぞれの観点から研究成果である『労働力の女性化』の中で展開している。すなわち、(1)労働を生産と再生産の両領域をトータルにとらえ、無収入労働分析およびインフォーマルセクターの女子労働分析を試みる。再生産領域(=家庭)の再生産労働(=無収入労働)と深くかかわる女子労働の場合、市場労働への関わり方は、この生産と再生産の領域のあり方に大きく左右されることが確認された。(2)性別分業の形成プロセスおよび日本における性別分業を次の二つの角度でとらえることについても成果があった。第一に社会的生産の局面として、性別職務分離、男女別労務管理・雇用管理の発生・展開プロセスをあきらかにできた。第二に生命再生産の局面として、いわゆる性別役割分担である、女性に家庭責任を配当するメカニズムを、経済構造の変化と関連づけて分析できた。(3)グローバルな視点から日本資本主義の発展をとらえ、戦前戦後の日本の世界的経済進出の中でのアジアの女子労働の再編と現状も分析対象とすることも達成された。(4)日本的労使関係が、どの様に女子労働を組み込んできたかを分析する。すなわち日本労使関係を支えるアクターである、国家、労働組合、使用者のそれぞれの女子労働をめぐる政策およびビヘイビアを分析することができた。
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