1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04302002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 拓生 東京工業大学, 理学部, 教授 (00009599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野倉 嗣紀 愛媛大学, 理学部, 教授 (00036419)
松本 尭生 広島大学, 理学部, 教授 (50025467)
松本 幸夫 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (20011637)
西田 吾郎 京都大学, 理学部, 教授 (00027377)
川久保 勝夫 大阪大学, 理学部, 教授 (50028198)
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Keywords | 多様体 / ホモロジー / インスタントン / ラグランジアンホモロジー / フレアーホモロジー / カオス / フラクタル / マンデルブロート |
Research Abstract |
最近、低次元多様体論および結び目理論と物理学など、多様体のトポロジーと諸科学の間に従来考えられもしなかった関連が発見され、多様体のトポロジーを主要な舞台とする新しい研究の大胎動が始まっている。そのような中で、今年度になされた吉田朋好(都立大理)、深谷賢治(東大数理科学)、宍倉光広(東工大理)の3氏の仕事は近年の世界の位相幾何学の研究の中でも際だって優れたものである。これらの仕事で、吉田氏は日本数学会幾何学賞(1993年度)を、また宍倉氏はアメリカ数学会のSalem賞(1992年)を授賞した。 吉田朋好氏の仕事:6年前にFloerにより3次元多様体のインスタントンホモロジーとシンプレクティック多様体のラグランジアンホモロジーが定議されたが、当初から両者は本質的に同じものであると予想されていた。吉田氏は一昨年インスタントンホモロジーの計算課程に自然にラグランジアンを作り、インスタントン間のスペクトラルフローが、対応するラグランジアン交点間のMaslov指数に一致することを示し、この予想解決への布石を打った。この仕事はいろいろな方面から基本的命題として認識されている。さらに今年度、両ホモロジーの境界作用素の間に具体的な対応を与え、この予想を見事に解決した。この証明には非線形問題が本質的に関係し、敗常に困難と思われていたもので、世界中から注目が集まっている。これらが授賞の対象になったものである。 深谷賢治氏の仕事:吉田氏の仕事とも関連するが、インスタントンから決まる量を多様体の分解を使って見るのは極めて自然である。そのため境界付き3次元多様体に対しインスタントンホモロジーを定議するのは重要な課題で、多くの世界的な研究者の興味を集めている。深谷氏の仕事は、この目標に壮大な枠組を提案し、それがほぼ正しいものであることを示したもので、低次元ゲージ理論の統一を予感させる素晴らしいものである。 宍倉氏の仕事:複素力学系は複素関係の反復を研究するが、非常に簡単な2次関係の反復でも、カオス、フラクタル、マンデルブロート集合などの氏で知られるような目をみはる複雑さと興味深い現象を示す。宍倉氏は以前に、複素力学系の周期点の固数に関する1920年以来の大予想を解くという画期的な仕事をし、この仕事は現在は「宍倉の不等式」の名で広く知られている。また今年度「マンデルブロート集合の境界のハウスドルフ次元は2である」という10年来の大問題を解決し、これらが受賞の対象になったものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mitsuhiro Shishikura: "The Hausdorff dimension of the boundary of the Mandelbrot set and Julia sets" Annals of Mathematics,.
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[Publications] Shigeyuki morita: "THe extension of Jonson's homomorphism from the torelli qroup to the mapping Class qroup" Inventiones mathematicae. 111. 197-224 (1193)
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[Publications] Goro Nishida: "On mod p cohomology of the space X and mod p trace formula forHecke operators" Journal of Mathematics of Kyoto Univ.32. 515-526 (1992)
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[Publications] Tsugunori Nogura: "Metrizability of topolpgical groups having weak topologies with respect to good covers" Topology and its Applications,.
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[Publications] katsuo Kawakubo: "G-s-cobordant manifolds are not necessarily G-holomorphic for arbitrary compact Lie groups G" Journal of the mathematical Society of Japan,to appear.
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[Publications] Mutsuo Oka: "Symmetric plane curves with nodes and cusps" Journal of the Mathematical Society of Japan. 44. 375-414 (1992)