1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04304001
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 博嗣 九州大学, 理学部, 名誉教授 (10027336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏見 譲 埼玉大学, 工学部, 教授 (80011641)
矢原 徹一 東京大学, 教養学部, 助教授 (90158048)
高畑 尚之 総合研究大学院大学, 教育研究交流センター, 教授 (30124217)
石井 一成 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00037285)
山崎 常行 九州大学, 理学部, 教授 (10108649)
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Keywords | 変動環境 / 集団遺伝学 / 分子進化 / 中立説 / 適応説 / 突然変異 / 有性生殖 / 生活史戦略 |
Research Abstract |
分子レベルの環境適応の種々相について研究を進めている他の研究グループとの連絡を活性化するために、10月に日本生物物理学会年会においてシンポジウムを開き、高等動物のゲノムの構造化(池村淑道)、ヘモグロビン(今井清博)、好熱菌(山岸明彦)などの環境適応の講演を依頼し意見交換をした。 2月に全体会議を開いて分担者からの報告を聞いて討論した。 変動環境の集団遺伝学理論については、1座位2状態モデルに限定すれば、弱突然変異極限と強突然変異極限において厳密な定常解が得られること、多型と進化速度について従来の中立モデルや弱有害モデルを特別な場合として包含する結果が得られることが伴った。 2座位の場合にも幾分か知見が得られたが、多座位の場合はまだ手付かずに残された。 こうして整備された理論が、Adhやアミラーゼの進化のパターンや進化速度の世代時間効果など、従来のモデルでは説明困難な分子進化のデータの理解にどの程度役立つか、環境変動効果導入の必要性についての検証は次年度に残された最重要課題の一つである。 また、集団遺伝学理論がどの程度過去の集団サイズや移動の模様を推測するのに役立つかについて、ヒト集団についての具体的試みや、系図学的モデルについての知見が報告された。 一方、変動環境がチョウの羽化季節など生物の生活史戦略に及ぼす効果の理論や、ファージ集団の多様性維持に及ぼす効果についても理論的検討が進み、生物的環境として見たウイルスが有性生殖の維持に及ぼす効果のヒヨドリバナについての野外観察による検討も進められた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Iwasa,Y: "ESS emergence pattern of male butterflies in stochastic environmenments." Evol.Ecol.(in press). (1994)
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[Publications] Iwasa,Y: "Forest gap dynamics with partically synchronized disturvances and gap age distribution." Ecol.Model.(in press). (1994)
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[Publications] Yahara,T.: "Effects of virus infection on demographic traits of an agamospermous population of Eupatorium chinense (Asteraceae)." Oecologia. (in press). (1993)
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[Publications] Inomata,N.: "The evolutionary relationship and variation at the molecular level ofelectrophoretically different AMY isozymes in Drosophila melanogaster." Genetics. (in press). (1994)
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[Publications] Newfeld,S.: "Drive-selection equilibrium:Homopolymer evolution in the Drosophila gene mastermind." J.Mol.Evol.(in press). (1994)
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[Publications] Tachida,H.: "A Population genetic study of the evolution of SINEs.I.Polymorphism with regard to the presence or absence of an element." Genetics. 1023-1030 (1994)
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[Publications] 巌佐 庸: "『植物の自然史』植物の成長と繁殖に関する進化生態学の数理" 北海道大学出版会, 89-105 (1994)
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[Publications] 巌佐 庸: "『文化と自然の共進化』(シリーズ「地球に生きる」第4巻) ヒトの婚姻システムのモデル.第4巻)" 雄山閣(印刷中), (1993)