1993 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳心血管障害の近年の発生要因の変遷と病型別の相異に関する研究
Project/Area Number |
04304036
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
嶋本 喬 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50143178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 稔 大阪府立成人病センター, 部長
吉田 洋二 山梨医科大学, 病理学, 教授 (10008237)
児玉 和紀 放射線影響研究所, 部長 (70161940)
小町 喜男 大阪府立公衆衛生研究所, 所長 (50134242)
上田 一雄 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10038812)
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Keywords | 穿通枝系脳梗塞 / 皮質枝系脳梗塞 / 危険因子 / 無症候性脳梗塞 |
Research Abstract |
1)茨城、秋田、大阪、高知の各地域でCT所見等による脳卒中の詳細な病型分類別に危険因子の分析を進めている。現在までの検討成績では穿通枝系脳梗塞は高血圧が最大の危険因子である。血清総コレステロール値は負相関の傾向を示したが、有意ではない。皮質枝脳梗塞の危険因子は高血圧と心房細動であり、そのうちでも血栓型では血清総コレステロールが高値の傾向を示した。血清中脂肪酸構成、血漿フィブリノーゲンを加えた分析を次年度に行なう準備を進めている。 2)久山町研究追跡26年間(1961-1987)では238例の脳梗塞が発症したが、このうち140例(59%)が穿通枝梗塞であった。これらの危険因子を初回診断時の成績を用いて、対照群(非脳卒中例)との間で、年令補正後の危険因子を比較検討すると、高血圧、耐糖能異常、心房細動が有意であった。ちなみに皮質枝梗塞の有意の危険因子は高血圧のみ、脳塞栓は心房細動のみであった。 3)(財)放射線影響研究所にて昭和33年(1958年)から追跡を受けている固定集団のうち、広島に属する約13,000人を対象に1958年から1990年までの32年間の脳卒中発生率を求め、経年変動を観察した。脳卒中としては脳出血と脳梗塞を扱い、その診断には臨床的診断基準を用いた。脳梗塞年令調整発生率は男女とも1960年代にピークを有し、以後順調に低下している様子が観察された。脳出血年令調整発生率も脳梗塞と同様に1960年代にピークを有し脳梗塞と異なりかなりの変動がみられるものの、やはり発生率の低下が観察された。 4)無症候性脳梗塞は症候性梗塞あるいは血管性痴呆の予備群として臨床的意味が大きい。中枢神経症状のない60歳以上の剖検例(30例)の大脳を病理学的な研究対象とした。19例に梗塞が57個見られ、発生部位は被殻と頭頂葉白質が最も多く、次いで、前頭葉白質であった。白質深部の梗塞は拡張型硬化(中膜筋細胞の減少)、中・外膜の線維化を示す髄質動脈に潅流されているものが多かった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 磯博康 他: "Plasma Fibrinogen and Its Coerelates in Japanese and US Population Samples" Arteriosclercsis and Thrcmbcsis. 13. 783-790 (1993)
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[Publications] 磯博康 他: "Antigens of Tissue Plasmincgen Activator and plasminogen Activator Inhibitor1:Correlates in Nonsmoking Japanese and Caucasian Men and Women" Thrembs Haemost. 70. 475-480 (1993)
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[Publications] 北村明彦 他: "都市住民における脳卒中の病型別発生状況について-CT所見に基づいて検討-" 日本公衛誌. 40. 627 (1993)
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[Publications] 児玉和紀: "Stroke Trends in Japan" Ann Epidemiol. 3. 524-528 (1993)
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[Publications] 正和信英,吉田洋二: "脳血管性痴呆の病理-とくに白質病変の成り立ち-" Clin Neurosci. 11. 1324-1328 (1993)
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[Publications] 貴家基,吉田洋二: "ラクナ梗塞の脳内動脈病変と危険因子" 治療学. 27. 149-152 (1993)
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[Publications] 上田一雄: "高血圧の予後と治療-α.遮断薬-" 日本人における高血圧の予後と将来展望,尾前照雄監修,メディカルトリビューン, 202(11-36) (1992)
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[Publications] 上田一雄 他: "Stroke:Populations,Cohort,and Clinical trials" Risk factors for stroke and transient attack JP(Ed),Butter with Heineman, 263(80-110) (1993)