1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04306016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴田 弘文 大阪大学, 経済学部, 教授 (80112001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野辺 裕幸 東海大学, 政治経済学部, 教授 (60119667)
和田 佳之 大阪大学, 経済学部, 助手
加藤 竜太 滋賀大学, 経済学部, 助手 (60242971)
北村 裕明 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (80144278)
川口 清史 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40102157)
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Keywords | フィランソロピー / 公益活動 / 税制 / チャーチ税 |
Research Abstract |
平成4年度は、本研究計画の初年度であるので本研究の準備的調査を行った。すなわち、民間公益活動(以下フィランソロピー活動と呼ぶ)の態様及びその活動に対する課税士の取扱いについて、わが国及び先進諸外国の制度上の様式と、現実の態様についての調査した。 わが国の制度は、フィランソロピー活動を行う法人、すなわち公益法人の設立は比較的容易であるのに対し、その法人の行う活動が税制上特別の取扱いを受ける為の条件は非常に厳しいことに特徴がある。又個人のフィランソロピー活動についても税制上特別の扱いを受けるためには厳しい制約がある。 一方キリスト教の影響の強い欧米諸国については、フィランソロピー活動が教会中心に進められてきたことと、教会が政治的にも強力であった歴史的経緯もあって、フィランソロピー活動に対する税制上の取扱いはわが国に比較して寛容で且つ国の介入が少ない。たとえばどのような活動を課税上優遇される活動であると認定するかは、わが国の場合は厳密な要件に照らして、行政側(国税庁)が判断する立場をとる。一方、欧米諸国では、活動をする側およびそれに対して資金を提供する側の意図を重視して、原則的にフィランソロピーの意図さえあれば課税上優遇する立場をとる。更に、ドイツではフィランソロピー活動に対する課税を免除することによって国庫に入る筈であった財源を同活動に振り向けるのみならず、教会に課税権(チャーチ税)を認めて、国以外が行う公益、福祉活動に強力な資金的基盤を与えて積極的に国以外の行う同活動を援助している。 教会のような、国家と独立した福祉及び公益活動を重要任務と考える主体の存在と、その主体が政治的にも財政的にも強力な基盤の上に立っていることの意味することは今後の重要な研究課題となると予想される。
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