Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚部 一成 東京大学, 理学部, 教授 (20108640)
速水 格 東京大学, 理学部, 教授 (80037184)
野田 浩司 筑波大学, 地球科学系, 教授 (00004341)
岡田 尚武 山形大学, 理学部, 教授 (80111334)
小泉 格 北海道大学, 理学部, 教授 (20029721)
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Research Abstract |
本研究の目的は,わが国の古生物学研究教育の現状を多角的に検討し,21世紀にむけての古生物学の展望を示すと同時に,古生物学を含む自然史科学の基礎科学としての重要性をアピールすることにある。本研究は大きく,古生物学研究の今後の課題の検討と,古生物学教育普及の対策の二つに分けられる。前者においては,わが国で推進できる以下の6テーマを選び,世界の研究状勢をみすえつつ,問題点と今後の展望をまとめた:(1)地球環境変遷の復元,(2)形態と分子両面からの進化古生物学の課題,(3)地球史における生態系の進化,(4)古生物を用いた地質年代スケールの精度と信頼度の向上,(5)実験的方法による古生物の研究,(6)古生物の系統分類。これらの研究を進めるにあたって,わが国の現状を分析し,(1)研究体制の見直し,(2)プロジェクト研究の推進,(3)博物館の充実,の3点について今後の展望を考えた。 一方教育普及面では,(1)小学校から高等学校までの地学教育と古生物学,(2)大学における古生物学教育,(4)生涯教育と古生物学の4項目にわたって現状を分析した。本研究にあたって特に留意すべき事として,(1)巨大科学や応用科学分野に比べて,古生物学等の基礎的研究分野は,研究設備,研究費等様々な面で縮少を余儀なくされている事,(2)古生物学や化石標本に対する社会認識が欧米に比べて著しく不足している事,(3)現在の高校入試や大学入試制度が環境教育と密接に関連する自然史科学教育の本来あるべき姿がゆがめられている事,があげられた。 この研究報告を基礎として,日本古生物学会では上記の状況を改善すべく,関連学会,関連研究に強く働きかけ,自然史科学連合設立の構想を提案する予定である。
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