1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04401001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木曽 好能 京都大学, 文学部, 教授 (40025060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜野 研三 京都大学, 文学部, 助手 (00198813)
伊藤 邦武 京都大学, 文学部, 助教授 (90144302)
内山 勝利 京都大学, 文学部, 教授 (80098102)
山本 耕平 京都大学, 文学部, 教授 (70025071)
薗田 担 京都大学, 文学部, 教授 (40047072)
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Keywords | 人間観 / 因果性 / 心身問題 / イデア論 / 生命倫理 / 環境倫理 / ゲーム理論 / ルネサンス |
Research Abstract |
1 本研究の目的は、西洋思想史上にあらわされたさまざまな人間観について、これまでの歴史的理解にとらわれない新たな解釈にもとづく検討をおこなうとともに、その成果を基礎にして現代の社会において採用するべき哲学的人間観を展望しようとするところにある。 2 平成5年度は、この課題にそって、中世スコラ哲学の精髄としてのトマスの人間観、ルネサンスの人間観、および近世科学思想の創始者たるデカルトの人間観をそれぞれ最新の歴史解釈にもとづいて捕らえ直す作業をおこなうとともに、これらと対比して理解される現代の政治的、経済的、道徳的な諸理論に前提されている人間観を洗いだすという作業に重点をおいた研究をおこなった。 3 これらの研究は、分担者各自の研究を定期的な会合にもちよって発表し、それに対する討論をおこなうというしかたで相互に有機的に連関しあうように進められたが、その全体の成果は「人間観の再検討」と題された研究成果報告論文集にまとめられた。その成果の詳細は論文集にゆずるが、この研究を通じて得られた知見の概略は次のとおりである。すなわち、西洋古代より近世までの各時代をつうじてなされてきた哲学的人間観の探究においては、従来理解されてきた以上に諸文化間の価値の多元性にたいする鋭い意識がその背景にあったということ、しかし、現代における科学的、経済的、文化規範的意識の激変は、これらの伝統的な人間観によってもなおカヴァーできないほどの根本的な人間観の再考を要請しており、その再構築のためには、人間の「意識」、「身体」、「欲求」、「記憶の連続性」など、最も基礎的な概念について十分に整合的で包括的な分析が必須であるということである。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 内山勝利: "理想国家と民主主義" 理想. 651. 12-22 (1993)
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[Publications] 薗田坦: "N.クザーヌスにおけるIdiotaの立場と〈ことば〉" 中世思想研究. 34. 154-166 (1992)
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[Publications] 伊藤邦武: "哲学と民主主義" 理想. 651. 58-69 (1993)
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[Publications] 伊藤邦武: "合理性の自然化" 科学哲学. 25. 1-13 (1992)
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[Publications] 伊藤邦武: "The Cost of Conflict" Acta Institutionis philosophiae et aestheticae. 10. 75-87 (1992)
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[Publications] 浜野研三: "認識論上の正当化と認識主体" 科学哲学. 25. 15-28 (1992)
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[Publications] 木曽好能: "ヒューム「人間本性論」翻訳・注釈・研究" 法政大学出版局(印刷中),
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[Publications] 山本耕平: "中世思想原典集成14 トマス・アクィナス" 平凡社, 500 (1993)