1993 Fiscal Year Annual Research Report
主体の働きかけが情報をいかに作り上げるか-信号・記号処理行動成立と崩壊-
Project/Area Number |
04401005
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Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
香取 廣人 帝京大学, 文学部, 教授 (80012300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 仁 帝京大学, 文学部, 助手 (60246006)
永瀬 英司 帝京大学, 文学部, 講師 (30217997)
藤崎 春代 帝京大学, 文学部, 助教授 (00199308)
山本 豊 帝京大学, 文学部, 助教授 (40134423)
深田 芳郎 帝京大学, 文学部, 教授 (50199163)
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Keywords | 情報処理 / 信号処理 / 言語処理 / 脳損傷 / 語音弁別障害 / 図形認知 / 図形探索 |
Research Abstract |
情報処理行動は、外的な刺激情報と主体の側の積極的な外的情報の取り込みの活動との相互作用によって成立、形成されるものと考えられる。 そこで本研究では、動物、健常成人、脳損傷者などを被験対象として、それぞれに応じて情報の意味レベルを段階的に変化させた課題状況を設定して、情報取得における主体の側の積極的な操作がかかわるような事態において、情報処理行動の成立と崩壊の過程にいかに影響されるかを比較検討した。 そのため平成5年度においては、前年度に引き続き、(1)ラットを被験体として、信号刺激の単純生成事態でのデータを集積して検討をすすめる、(2)中枢性語音弁別障害事例を被験対象として、自然音声および合成音声を刺激材料を用いて語音認知における復唱課題の他、語音照合課題など、種々の課題要請の相違の効果を実験的に分析、検討を行う、(3)健常被験者を対象として視野制限状況における図形認知過程の崩壊の様相とその際の積極的な探索活動の役割について実験的に分析を行う、などが試みられた。 その結果、(1)ラットを被験対象とした実験においては、得られた情報に応じて場面を選択する傾向がみられたが、個体差が大きく、とくに被験体の年齢による相違が現れたこと、(2)中枢性語音弁別障害事例の患者では、語音系列の処理においてその処理速度が健常者に比べて遅い、ないしはechoicな短期保持能力に限界があること、また本事例は、このような障害状況を、意味的な手がかりを積極的に利用することによって克服していること、(3)図形認知課題において視野制限を行うと健常成人の被験者は、能動的な探索活動と受動的認知活動との間にストラテジィの差があること、などが明らかにされた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 香取廣人・深田芳郎・中越佐智子・溝渕淳: "語音認知崩壊過程の実験的分析(1)" 基礎心理学研究. 12. 59 (1993)
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[Publications] 中越佐智子・溝渕淳・深田芳郎・香取廣人: "語音認知崩壊過程の実験的分析(2)" 基礎心理学研究. 12. 59 (1993)
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[Publications] 香取廣人・中越佐智子・溝渕淳・柏野牧夫・深田芳郎: "語音認知過程の崩壊機序の分析--(1)加工音声による分析--" 日本心理学会第57回大会発表論文集. 796 (1993)
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[Publications] 中越佐智子・溝渕淳・柏野牧夫・香取廣人・深田芳郎: "語音認知過程の崩壊機序の分析--(2)語音の提示間隔変化による分析--" 日本心理学会第57回大会発表論文集. (1993)