1993 Fiscal Year Annual Research Report
重陽子一・二重スピン反転確率測定と新しいスピン励起モード
Project/Area Number |
04402004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 英行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90030030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (20175409)
岡村 弘之 東京大学, 理学部, 助手 (10221144)
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Keywords | スピン反転確率 / テンソル偏極度計 / 荷電スカー巨大共鳴 / 二重巨大共鳴 / スピン集団運動 / 偏極移行 |
Research Abstract |
スピン1を持つ重陽子による原子核散乱では、散乱前後で重陽子スピンの反転(△S=1,2)が可能であり、原子核のスピン励起をさせることができる。この一重及び二重スピン反転(△S=1,2)確率を測定することにより、重陽子だけが励起可能な未知の荷電スカラー・スピンモードを発見し、核力の中で最も研究が遅れている荷電スカラー・スピン力や核構造の情報を得るのが目的である。 重陽子スピン反転確率は、偏極ビームを使った二回散乱法により測定されるヴェクトル及びテンソル偏極移行量から求められる。その目的のためにスペクトログラフの焦点面に重陽子偏極度計を設置し散乱重陽子のベクトル及びテンソル偏極度を測定する。昨年度は偏極度計の前段部すなわち、散乱重陽子の位置と角度を求める位置検出器MWDC(多芯線ドリフトチェンバー)を設計製作した。今年度は、二回散乱用の散乱体(プラスチックシンチレータを使用した能動型)、ならびに散乱体で再度散乱された粒子の検出器系を製作した。 ヴェクトル偏極はシンチレータ中の炭素(^<12>C)と重陽子との弾性散乱の偏極分解能(A_y)を利用し、テンソル偏極はシンチレータ中の水素(^1H)とのエキゾチックな^1H(d,^2He)n反応による偏極分解能(A_<yy>)を利用し測定する。^2He粒子は、非束縛粒子であり極短時間で二つの陽子に分解する。この二陽子をプラスチックシンチレータによるホドスコープを使い検出する。粒子識別はTOF法により行う。今年度は^2He粒子を効率よく測定する検出器系について、最適化をモンテカルロシミュレーションを利用し行い設計製作した。その主要部分は6.5x6.5x220cm^3のプラスチックシンチレータ40本である。この検出器系のテストは、3月に理化学研究所のサイクロトロンのビームを使い行われる予定である。順調に本研究は進んでいる。 また研究分担者の鈴木は重陽子非弾性散乱で励起される荷電スカラー・一・二重スピン励起の応答関数の理論的研究を進めた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Sakai: "Spectroscopy of neutron halo nucleus"Be via the "B(d,^2He)reaction at 70 MeV" Phys.Lett.B302. 7-12 (1993)
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[Publications] H.Sakai: "Spinflip Dipole Giant Resonances in Neutron Rich Light Nuclei and Neutron Halo Effects" Nucl.Phys.(in press).
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[Publications] S.Ishida: "Spinflip measurements for isoscalar transitions via the ^<12>C(d,d'α)reaction" Phys.Lett.B314. 279-283 (1993)