1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04402007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三本木 孝 北海道大学, 理学部, 教授 (60000791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 健一 北海道大学, 理学部, 教授 (60001757)
小野寺 彰 北海道大学, 理学部, 助教授 (40142682)
野村 一成 北海道大学, 理学部, 助教授 (80128579)
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Keywords | ベチガート塩 / スピン密度波 / SDW / スライデイング / 狭帯域雑音 / 金属・非金属転移 |
Research Abstract |
(1)結晶の作成:スピン密度波を示すTMTSF塩の単結晶を作成した。(TMTSF)_2PF_6の他に、あらたに(TMTSF)_2AsF_6を電気分解法で作成した。再結晶した、TMTSFと、テトラブチルアンモニウムのAsF_6塩を原料とし、蒸留精製したジクロロメタンを溶媒に使った。 (2)測定上の工夫:常圧で低温まで冷却する過程で試料に微細なワレが発生することがあるため、高圧容器内で測定を行った。圧力の最低値0.5kbは事実上常圧とみなすことができる。 (3)伝導度の振動現象:低温非線形領域で、定常電流に対する電圧応答に交流成合(狭帯域雑音)が観測された。その振動数は電流の非線形成分に比例し、その比例系数は温度に依らない。また、非線形領域でのパルス電流の下での電圧波形に減衰振動成分が観測された。その周波数は狭帯域雑音の周波数に一致した。前者は一定の速度で運動するスピン密度波の加減速を表し、後者は、運動状態での空間構造が静止している場合とは違った準安定状態を示すためと解釈される。 (4)スピン密度波の圧力一温度相図:金属一非金属転移温度、スピン密度波状態でのオーミック伝導度の活性化エネルギー、非線形伝導の開始する臨界電場を高圧下で測定した。転移温度と活性化エネルギーの比は単純な平均場近似による値からずれ、圧力とともに系統的に変化した。これは、圧力の増加とともに系がより3次元的になることによる、高圧下では臨界電場がゼロとなる温度が転移温度よりも高温であり、その差が圧力とともに増加する結果を得た。転移温度がスピン密度波の転移温度には対応せず、金属的なスピン密度波状態の存在を示しているものと解釈される。
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