1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04402008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大門 寛 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (20126121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 滋正 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40107438)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / バンドマッピング / フェルミ面 / 球面鏡分析器 / 2次元測定 / 遷移金属カルコゲナイド / 電子状態 / 3次元測定 |
Research Abstract |
本研究の目的は、我々が開発した2次元表示型の球面鏡エネルギー分析器を用いて紫外光電子分光を行い、固体内電子のエネルギーバンドの等エネルギー断面を2次元的に迅速に測定し、エネルギー軸を加えて3次元的なバンドマッピングを行うことである。特にこの方法ではフェルミ面の形などが可視化できるので、物性とバンド構造との関連についての研究が大いに進展するものと期待される。 平成5年度は、種々の試料が効率よく測定できるような、超高真空槽を設計して作成し、測定データの質を上げるとともに、種々の試料を測定するのが目的であった。真空槽は、現在、立ち上げが終わった段階である。 実験は、いくつかの遷移金属カルコゲナイドについて行った。これらの物質は、電荷密度波(CDW)や超伝導の出現などフェルミ面の形が物性と直接関係していると言われている物質群であるが、実験的なフェルミ面はほとんど得られていないといってよい。1T-TaS2、2H-TaSe2、2H-NbSe2についていくつかのエネルギー値でのバンドの断面図を得る事に成功した。励起源に直線偏光を用いたので、軌道の対称性まで判った。これは、昨年度に行ったグラファイトと同様の結果である。このような対称性の議論は従来の角度分解型の測定では極めて難しく、2次元角度分解同時測定の有効性がさらに示された。 また、測定装置の改良として、角度分解能とエネルギー分解能を同時に高めた実験を可能にするための特殊グリッドを製作した。これは、セラミックを半径40mm厚さ1mmの球形に加工し、0.3mmの穴を0.1mmの間隔で中心に向けて数万個開けるという、現代の加工技術の最先端の技術を必要とする難しい加工である。やっと一つ完成したので、これから電極を上下に付けてテストしていく予定である。
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[Publications] H.Nishimoto: "Simultaneous angle-resolved measurement of the band structure of single-crystal graphite by an improved two-dimensional display analyzer" Rev.Sci.Instrum.64. 2857-2862 (1993)
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[Publications] H.Daimon: "Strong circular Dichroism in Photoelectron Diffraction from Non-magnetic Material-Evidence of Rotational Motion of Electrons" Jpn.J.Appl.Phys.32. L1480-L1483 (1993)
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[Publications] K.Sakamoto: "Electron Stimulated Desorption (ESD) of O_2/Si(111) Surface" Surf.Sci.(in press). (1994)
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[Publications] T.Yonezawa: "Adsorption and desorption process of Cl on Si(111)7x7" Applied Surface Science. (in press). (1994)
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[Publications] T.Yonezawa: "PSD mechanism of Cl^+ ions from Cl/Si(111) surface" Jpn.J.Appl.Phys.(in press). (1994)