1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04402008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅 滋正 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40107438)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / フェルミ面 / バンドマッピング / 球面鏡分析器 / 二次元測定 / グラファイト / 遷移金属カルコンゲナイド / 電子状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は、我々が開発した2次元表示型の球面鏡エネルギー分析器を用いて紫外光電子分光を行い、固体内電子のエネルギーバンドを2次元的に迅速に測定し、エネルギー軸を加えて3次元的な測定を行うことである。しかし、従来の分析器を、エネルギー分解能を高めると角度分解能が悪くなるという欠点があったので、その克服も本研究での大きな課題である。 平成6年度は、一昨年に作成した新しい「グリッドシステム」を昨年度に作成した「超高真空槽」に組み込み、立ち上げを完了し、田無の放射光施設(INS-SOR)のビームライン4に接続した。現在、放射光の分光器を明るくする調整が終わり、データを取り始める段階にきている。 また、昨年度に製作した「特殊グリット」のテストを行った。このグリットも、角度分解能とエネルギ一分解能を同時に高めた実験を可能にするためのもので、セラミックを半径40mm厚さ1mmの球形に加工し、これの上下に電極を付け、穴の中にグラファイトを塗布し数MΩの抵抗にし、真空槽に入れてテストした。その結果、LEED(低エネルギー電子回析)の実験においては、阻止電位をかけてもスポットがぼけないという成果が得られた。従って、予備テストはうまく行っており、これから光電子でのテストを行う予定である。 また、理論的にも、これまでのデータを詳しく解析した結果、新しい概念に到達する事が出来た。単結晶グラファイトで行ったバンド構造の断面およびフェルミ面の形の測定結果を理論的に再現するために、強結合近似によるブロッホ関数を始状態として角度分布の計算を行った。その結果、光電子の角度分布は、原子軌道からの角度分布と、新しく導入した「光電子の構造因子」との積で表されることが初めて明らかになった。
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[Publications] Yonezawa,Takuya: "Adsorption and desorption Process of Cl on Si(111)7×7" Applied Surface Science. 79/80. 1-5 (1994)
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[Publications] Sakamoto,Kazuyuki: "Photoemission study of the Si(111)3×1-K surface" Phys.Rev.B. 50. 1725-1732 (1994)
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[Publications] Yonezawa,Takuya: "Photon stimulated desorption mechanism of Cl^+ ions from Cl(111) surface" Jpn.J.Appl.Phys.33. 2248-2251 (1994)
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[Publications] Sakamoto,Kazuyuki: "Electron Stimulated desrption(ESD)of O_2/Si(111)Surface" Surface Science. 306. 93-98 (1994)
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[Publications] Suga,Shigemasa: "Photoemission X-ray absorption,and inverse-photoemission studies of Sm_3Se_4" Physical Review B. 49. 2061-2067 (1994)
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[Publications] Daimon,Hiroshi: "Circularly-polarized induced dichroism in photoelectron diffraction observed with display-type spherical mirror analyzer" Rev.Sci.Instrum.(in print). (1995)