Research Abstract |
シリコンで,面方位が異なった単結晶・高純度シリコンウエハ・サブストレート(4インチ)を製作した。ついで,サブストレートの結晶軸,結晶方位,結晶化度,結晶歪,結晶構造を微小領域解析装置X線回析部によって計測すると同時に,面性状(平面性など)を光干渉法と微小領域解析装置形状解析部による観察によって評価した。そして,そのサブストレート上にシリコンをエピタキシャル結晶成長させた。このとき,成長条件として,成長速度と成長温度を変化させて実験を行った。上記において解析された同一箇所を,エピタキシャル成長層について同様の解析を行い,ある微小領域についての結晶成長プロセスを解析した。なお,分子線エピタキシでは,エピタキシャル成長中だけでなく,前後の処理法によっても成長層の性状が変化するため,十分な基礎実験によって,常に同一条件で成長が行われるように,成長のシーケンスを定めて行った。その結果,成長速度を変化させると,速度が速いほど,結晶性が悪く,成長層の性状は荒れたものとなった。これは,成長速度が速くなると,十分なエピタキシャル成長がなされなくなるためと考えられる。また,成長温度については,温度が高くなると,結晶性は良くなるが,成長層の性状は荒れたものとなった。これは,温度によって,成長の様式が変化するためと考えられる。これらの成長速度,成長温度による性状の荒れ方は異なっており,それぞれ別の要因によって引き起こされていると考えられるが,今年度は十分な解析が行えなかった。いずれにせよ,分子線エピタキシでは,適切な前後処理および成長条件を設定すれば,結晶性が良好でかつ平滑な表面性状の平面が創成できることが明らかとなった。
|