1993 Fiscal Year Annual Research Report
真に解きたい問題を隠しつつ計算機の力を利用する実用的な依頼計算方式の研究
Project/Area Number |
04402033
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Research Institution | University Scientific Research (A) |
Principal Investigator |
今井 秀樹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70017987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 勉 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (40183107)
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Keywords | 依頼計算 / ICカード / 分散計算 / P完全問題 / 線形計画法 / 凸計画法 / 情報セキュリティ / クライアント・サーバ・コンピューティング |
Research Abstract |
汎用性の高い依頼計算プロトコルの開発が本研究の主題である.相対的に計算力の高い補助装置に秘密を漏らさず正しく計算を進め,相対的に計算力の低い装置の秘密に基づく計算の処理時間を短縮するにはプロトコル上の工夫-依頼計算-が必要であるとの考えから,理論と実際の両面から検討がなされてきた.これまで,多項式計算,行列演算,ベキ乗計算,指数計算,指紋照合などにつき,具体的なプロトコルが提案されている.これらは,特別な個別問題群の特徴を巧みに利用して構成されてきた.しかし,依頼計算を行いたい個別問題群毎にプロトコルを設計し評価するには大変な手間がかかる.そこで,大きな個別問題群を対象とする汎用の依頼計算プロトコルを構成しておき,個々の応用に簡単に適用できるようにすることが考えられる.これが成功すれば,様々な応用分野においてICカードやパソコンなどの相対的に計算力の低い装置の利用価値を向上できる可能性がある.本年度は前年度の成果を踏まえ3項目につき研究を行ない次のような成果を得た. (3)完全問題に対する依頼計算プロトコルの開発:線形計画問題LPや凸計画問題は,単体法等の実用解法が開発されており,入力サイズの多項式の計算時間で解くことができる問題の全体であるクラスPに対する完全問題でもあるので,LPや凸計画問題に対する依頼計算プロトコルを開発した. (4)依頼計算プロトコルの還元法の開発:クラスPに属する問題QのLPへの還元法とLPの解のQの解への変換について検討した. (5)汎用依頼計算プロトコルの実装実験:(3)(4)の結果をワークステーションと高速計算機により実装し効果を測定した. これらにより,真に解きたい問題QをLPに変換する際のサイズの増大が抑えられれば,汎用的な依頼計算の手法として本研究のアプローチは効果的であるという結論を得た.
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[Publications] Manuel Cerecedo: "Efficient and secure multiparty generation of digital signatures based on discrete logarithms" IEICE Trans.Fundamentals.E76-A. 532-545 (1993)
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[Publications] Tsutomu Matsumoto: "On verifiable implicit asking protocols for RSA computation" Advances in Cryptology,LNCS 718,Springer-Verlag. 296-307 (1993)
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[Publications] Satoshi Ozaki: "A holder verification protocol using fingerprints" Proceedings of 1993 Korea-Japan Workshop on Information Security and Cryptology,Seoul. (1993)
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[Publications] 松本 勉: "依頼計算" 計算理論・情報認識理解の研究動向と将来展望,電子情報通信学会情報システムグループ運営委員会. (1994)