1993 Fiscal Year Annual Research Report
凝固加工プロセスにより組織制御した高強度・高弾性アルミニウム合金の開発研究
Project/Area Number |
04402048
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神尾 彰彦 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 裕康 東京工業大学, 工学部, 助手 (40180070)
里 達雄 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90126318)
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Keywords | Al-Li合金 / Al-Li-Cu合金 / スクイズキャスティング / 時効析出 / 複合材料 / ウイスカー |
Research Abstract |
SiC_w/Al-Li系複合材料(体積率15〜30%)をSiC_wプリフォームを用いて高圧下でスクイズキャスティング法により製造し、製造条件の改善と時効析出挙動の解明をおこなった。 高圧鋳造過程で、合金溶湯のプリフォーム内ヘの浸透経路に沿って活性な元素のLi、Mg原子が捕獲され、欠乏する異状マクロ偏析現象を見い出した。これはプリフォーム内に存在するSiO_2との酸素と活性金属との反応によることを明かにし、溶質欠乏溶湯をプリフォーム外に押し出す溶湯の浸透法を考案し、金型およびプリフォームの加熱・冷却を制御して均一溶質分布の複合材料鋳塊を得るプロセスを確立した。 Al-Li、Al-Li-Cu合金基複合材料は、Al-Cu合金基複合材料と異なり、顕著な時効硬化挙動を示し、SiC_w体積率の増加に伴い最高硬さに達する時効時間は短くなる。これは、金属マトリックスとSiCセラミックスとの熱膨張率の大きな差により、溶体化温度から水中に焼入れる事によって生じる熱応力により導入された転位密度がSiC_wの体積率の増加とともに増加し、硬化に寄与する中間相の析出が促進される。とくにAl-Li-Cu系合金では、最も硬化に寄与するT_1相が転位上に優先析出し、複合材料の著しい強度上昇が得られた。さらに、熱応力によって生じたマトリックス内の残留応力をX線回折法で測定し、複合材料の熱履歴を変えて残留応力と析出挙動を制御し、複合材料の強度改善する手法を見い出した。 423Kでの等温時効における複合材料の時効硬化挙動は、2段階の硬さの上昇を示し、各時効段階における主な析出硬化寄与相がSiC_wの体積率によって異なることが示された。1段目の析出硬化寄与相は、16%SiC_w複合材料ではδ'相、31%SiC_w複合材料ではδ'とT_1相であり、SiC_w体積率が高いほどT_1相の寄与度が高くなる。また、2段目のピーク時効硬化においては、16%SiC_w複合材料ではδ'、θ'とT_1の3相が、31%SiC_w複合材料では主にT_1相が硬化に寄与する。
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Research Products
(2 results)