1992 Fiscal Year Annual Research Report
ナノプローブ電子顕微鏡による構造相転移の微視的パターン形成の研究
Project/Area Number |
04402051
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 直紀 東京工業大学, 理学部, 助教授 (90108184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 克道 東京工業大学, 理学部, 教授 (90016072)
箕田 弘喜 東京工業大学, 理学部, 助手 (20240757)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 構造相転移 / パターン形成 / 整合不整合相転移 / ディスコメンシュレーション |
Research Abstract |
本年度の主な研究は、第一に観察したい結晶から格子欠陥の少ない薄膜試料を作製するための試料処理法を見出すことであり、第2に次年度のナノプローブ電子顕微鏡による観察にための予備観察を行うことである。 1.試料処理 電子顕微鏡で微視的な構造を明瞭に観察するためには、結晶の内部欠陥や歪などの損傷の無い一様な厚さの薄い試料を作製する必要がある。本年度の研究費で電顕用試料作製装置を購入し、試料として現在観察を行っているBaZnGeO_4に他にPb_3(PO_4)_<>(およびチオ尿素に対して化学研磨法、イオン研磨法、電解研磨法、粉砕法などを試み、それぞれの試料に最も適した処理法、および作製条件を調べた。その結果、BaZnGeO_4にはイオン研磨法、Pb_3(PO_4)_2、およびチオ尿素に対しては粉砕法に似たへき開を利用する方法が適当であることが分かった。 2.既存の電子顕微鏡による微視的パターンの低分解能予備観察 現在研究室では200kV電子顕微鏡と電顕用液体窒素冷却ホルダーおよび加熱ホルダーが使用可能である。BaZnGeO_4に対して冷却ホルダーを用いて低倍率ではあるが局所的構造変化に対して強いコントラストを生じさせる暗視野像法によりIV相とV相の間の相転移過程に現れる微視的パターンの観察を行った。その結果、加熱過程と冷却過程とでディスコメンシュレーション格子のパターン変化に差のあることが分かった。電顕に取り付けたTVカメラによりこの微視的パターン変化の動的観察を現在行っている。次年度納入されるナノプローブ電子顕微鏡を用いてこのパターンに現れるコントラストの結晶学的な情報が得られるものと期待される。
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[Publications] N.Yamamoto: "Incommensurate-Commensurate Phase Transition of BaZnGeO_4 Studied by Electron Microsoopy and Diffraction" Journal of The Physical Society of Japan. 61. 3178-3188 (1992)
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[Publications] N.Yamamoto: "Electron Microscope Study of Incommensurate Lattice Modulation in Layered Composite Crystal PbS-VS_2" Asian Crystallographic Association. 1. 15A3 (1992)
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[Publications] 山本 直紀: "電子顕微鏡法による誘電体の相転移、不整合構造の研究" 日本結晶学会誌. 34. 1-10 (1992)