1992 Fiscal Year Annual Research Report
融液超急冷法による機能性高温相のガラスマトリックス中への常温凍結
Project/Area Number |
04403015
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
南 努 大阪府立大学, 工学部, 教授 (80081313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
忠永 清治 大阪府立大学, 工学部, 助手 (90244657)
辰巳砂 昌弘 大阪府立大学, 工学部, 講師 (50137238)
峠 登 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (00081315)
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Keywords | 超急冷法 / ガラス / 複合体 / 相転移 / 高温安定相 / 超イオン伝導体 / ヨウ化銀 / 微粒子分散 |
Research Abstract |
ヨウ化銀は、147℃以上ではいわゆる「超イオン伝導体」(α-AgI)であるが、147℃以下では伝導性の低いβ-AgIに転移してしまう。ところが、AgIを極端に多量に含む融液を10^5K/s以上の冷却速度で超急冷すると、α→β転移が阻止され、常温α-AgIがガラスマトリックス中に凍結された一種の複合体が得られることがわかった。本研究では、α-AgIをはじめとする高温でのみ機能性を有する種々の結晶化合物に対して、高温相のガラス中への常温凍結を試み、凍結条件の最適化や凍結の機構を明らかにすることを目的としている。本年度得られた成果を以下に示す。 (1)AgIを多量に含むAgI-Ag_2O-MxOy(MxOy=B_2O_3,GeO_2,P_2O_5,MoO_3)系の融液を、10^5K/s以上の極めて大きな冷却速度で超急冷することにより、高温安定相であるα-AgIをガラスマトリックス中に常温で凍結できることがわかった。しかし、その凍結できる組成域は、ガラス生成域よりわずかにAgI含量の多い組成域に限られていた。 (2)α-AgIが常温凍結できる組成域は、.MxOyがB_2O_3の場合に最も広く、次いでGeO_2が広いのに対してP_2O_5やMoO_3の場合はかなり狭いことがわかった。 (3)ガラス転移温度(Tg)の高いガラスマトリックスの方が、AgIのα→β転移抑制効果が大きく、容易にα-AgIが凍結できた。 (4)α-AgIを常温凍結した複合体は、室温で10^<-2>〜10^<-1>Scm^<-1>と極めて高いイオン伝導度を示すことがわかった。また、伝導の活性化エネルギーは、10〜20kJmo1^<-1>と、α-AgIと超イオン伝導ガラスの中間の値を示した。 (5)α-AgIは、複合体中で分散相として存在し、α-AgIの体積分率は、約40〜50vo1%程度であると考えられる。また、結晶子サイズは20〜30nmであることがわかった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] M.Tatsumisago: "Formation of Frlzen α-AgI in Superionic Glass Matrices at Ambient Temperature by Rapid Quenching" Solid Atate Ionics. 50. 273-279 (1992)
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[Publications] T.Minami: "Preparation of Glasses with High Ionic Conductivities" Mat.Sci.Eng.B13. 203-208 (1992)
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[Publications] 南 努: "高温安定相α-AgIのガラスマトリックス中への常温凍結(解説)" 化学. 47. 362-363 (1992)
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[Publications] 南 努: "超イオン伝導ガラス(解説)" 日本金属学会会報. 31. 681-686 (1992)
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[Publications] 南 努: "高温安定結晶相α-AgIの常温凍結(解説)" 化学と工業. 45. 1673-1675 (1992)
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[Publications] M.Takahashi: "Molecular Dynamics Sinulation of the Mixed Anion Glasses.Li_4SiO_4-Li_3BO_3" J.Non-Cryst.Solids. 150. 103-106 (1992)
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[Publications] M.Tasumisago: "Raman Spectra of Rapidly Quenched Glasses and Melts Containing Large Amounts of Li_2O" J.Non-Cryst.Solids. 150. 207-211 (1992)
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[Publications] M.Tatsunisago: "Formation of Frozen α-AgI in Twin-Roller Quenched AgI-Ag_2O-MxOy(MxOy=WO_3,V_2O_5)Glasses at Ambient Temperature" J.Am.Ceram.Soc.76. 235-237 (1993)
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[Publications] T.Saito: "Electrical Conductivities of the Superionic Composites Composed of Frozen α-AgI and AgI-based glasses" Solid State Ionics. (1993)
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[Publications] T.Minami: "New Materials" Narosa Pub.House, 495 (1992)