1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04403023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 真狩 東京大学, 農学部, 教授 (60011889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 幸司 東京大学農学部, 助教授 (20143406)
高月 昭 理化学研究所, 主任研究員 (80011972)
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Keywords | 蛋白質膜通過 / ピュロマイシン / ブレフェルデインA / ブレフェルデインA耐性 |
Research Abstract |
分裂酵母細胞における粗面小胞体(rER)内腔への蛋白質の膜通過反応についてin vitroの系を組んで調べた。即ち^<35>S-メチオニンで標識した酵母のα-因子と透過性分裂酵母細胞(P-cell)更にATP、GTPを混ぜた系で、α-因子がrER内腔に膜透過することを実証した。この反応を抗生物質ピュロマイシンが特異的に阻害することを発見した。ピュロマイシンは蛋白質合成の阻害剤、即ちペプチド伸長停止作用でよく知られているが、その作用で膜通過が阻害されるとは考えられず、この作用機作の解明は膜通過反応の理解につながると考えられる。 次いで蛋白質細胞内輸阻害剤ブレフェディンA(BFA)の作用点解明の研究を行なった。我々の以前の研究で、BFAは酵母Candida albicansにおいてrERとゴルジ体の間で蛋白質輸送を止めていることを明らかにしてきた。0.004%のSDS存在下では分裂酵母もBFAに感受性になることを見いだした。恐らく透過性の変化によりBFAが細胞内に入り蛋白質輸送を止めたためと考えられる。この条件下でコピーで分裂酵母にBFA耐性を与える分裂酵母DNA断片を数種クローン化した。もっともよくBFA耐性を与える約6kbのDNA断片につき全塩基配列を決定した。その結果この断片には約4.6kbにわたってORFが見いだされた。これをbfrl遺伝子と命名した。この遺伝子産物は1530アミノ酸によりなりホモロジー検索よりショウジョウバエのホワイトプロテインやブラウンプロテインと弱い相同性が認められた。これらはヘムの取込に関与する蛋白質とされている。また推定機能領域の配置関係は動物細胞の多剤耐性遺伝子mdrとも似ていたが、膜貫通領域とATP結合領域の相対配置は逆になっていた。これらのことからbfrl遺伝子産物はBFAの排出に関与するポンプではないかと考えられる。従ってBFAの作用点を明らかにするためには更に他のDNA断片の解析を進めねばならない。
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[Publications] H.Kanbe-Honjon,K.Yoda,M.Yamasaki: "Protein transport in the permeabilized cell of Schizosaccharomyces pombe" Biochem.Biophys.Res.Comm.186. 838-845 (1992)
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[Publications] H.kanbe-Honjon,K.Yoda,M.Yamasaki: "Inhition of protein translocation permeabilized cells of Schizoxachharomyces pombe puromycin" Biosci.Biotech.Biochem.56. 1649-1654 (1992)