1993 Fiscal Year Annual Research Report
クリスタログラフィックワークベンチの構築とヒドロゲナーゼの構造解析
Project/Area Number |
04403026
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
安岡 則武 姫路工業大学, 理学部, 教授 (40029054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岬 真太郎 姫路工業大学, 理学部, 助手 (30244685)
樋口 芳樹 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (90183574)
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Keywords | クリスタログラフィックワークベンチ / ヒドロゲナーゼ / X線構造解析 / 異常散乱法 / 重原子同型置換法 / 電子密度分布 / 鉄イオウクラスター / ネットワーク |
Research Abstract |
昨年度に引続き実験室規模におけるタンパク質立体構造のX線回折法による一貫解析システムを構築するとともにこれを活用して硫酸還元菌のヒドロゲナーゼの構造解析を行った。新たにグラフィックスワークステーションIRIS-Indigoを設置しX線回折装置を制御するとともに測定したピクセルデータから構造因子を算出するソフトウエアを開発した。このシステムを活用してヒドロゲナーゼ結晶のX回線回折を行った。同型置換法により6Å分解能の電子密度を得ることに成功し、更にその位相情報と多波長異常分散法による回折データから鉄・イオウのクラスターとニッケル原子の位置を区別して同定することに、成功した。初期電子密度図は6種類の重原子誘導体を用いた多重同型置換法によりプログラムPROTEINを用い、ネイティブ構造因子の最良位相角とその重みを求めた。6Å分解能におけるこの重みの平均値は0.76であった。その後この6Å分解能の電子密度の溶媒領域を決定し、溶媒領域の平滑化による電子密度の改良を行った。その結果位相は更に改良され、この位相と観測構造因子から計算した電子密度図に多と比べて明らかに大きく、孤立したピークを5つ見つけることができた。鉄原子の異常分散効果の大きな波長である1.74Å(△f′=-6.1)と1.73Å(△f′=-4.5、△f″=3.9)、ニッケル原子の異常分散効果の大きな波長の1.49Å(△f′=-0.9、△f″=3.0)及びどちらの原子の異常分散効果も小さな1.04ÅのX線で測定した回折データの異なる波長間(F(1.04Å)-F(1.74Å),F(1.04Å)-F(1.48Å))やバイフィット対間(F^+(1.73Å)-F^-(1.73Å))の構造因子の差と同型置換法による位相(バイフィット対の場合alpha _<MTR->pi〓)を用いた差フーリエ図を計算したところ、先に述べた5つのピークをニッケル(1個)と鉄・イオウのクラスター(3個)およびゴーストピーク(1個)と同定することができた。これらの各金属原子の位置を多波長異常分散効果を考慮した方法で精密化した結果、原子パラメータは占有率、座標、温度因子とも収束した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Higuchi,S.Masaki, Y.Morimoto and N.Yasuoka: "Location of Active Sites of NiFe Hydrogenase determined by the Combination of Multiple Isomorphous Replacement and Multiwavelength Anomalous Diffraction Methods" Acta Crystallographica. D50(in the press). (1994)
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[Publications] I.Fujii,N.Hirayama, Y.Higuchi,and N.Yasuoka: "XVIEWER-An Interactive Image Processing Program for Diffraction Data from the Weissenberg Camera for Macromolecular Crystallography" Bioimages. 2. 47-52 (1994)
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[Publications] N.Yasuoka,S.Sugiyama, Y.Morimoto,Y.Higuchi: "On the Active Sites of Hydrogenase from Desulfovibrio vulgris Miyazaki F" Jpn.J.Appl.phys.32. 553-555 (1993)
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[Publications] A.Yoneda,T.Hakushi, Y.Morimoto and N.Yasuoka: "Intramolecular Hydrogen Bonding within Cyclometalated Palladium(II) Complex Containing L(-)-1-Phenylethylamine Ligand" Chemistry Letters. 175-176 (1994)
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[Publications] 安岡則武: "放射光を用いた生体分子の構造研究" 放射線医学物理. 13. 186-194 (1993)
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[Publications] 安岡則武: "タンパク質結晶構造解析法の進歩と問題点" 細胞工学. 12. 762-766 (1993)