1993 Fiscal Year Annual Research Report
rbcLの塩基配列比較にもとづくシダ植物(広義)の系統解析
Project/Area Number |
04404003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩槻 邦男 東京大学, 理学部, 教授 (10025348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 光泰 東京大学, 理学部, 助手 (40237996)
村上 哲明 東京大学, 理学部, 助手 (60192770)
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Keywords | シダ植物 / rbcL / 塩基配列 / 分子系統樹 / チャセンシダ科 / ホウビシダ類 / 分類学 / 進化 |
Research Abstract |
本年度は、チャセンシダ科の種を中心にrbcLの塩基配列および分子系統学的解析を行なった。チャセンシダ科は熱帯域に分布するものを中心に700種以上を含むシダ植物最大級の科の1つである。(1)2本の葉跡が葉柄の上部で合着してX字型になる、(2)胞子嚢群が脈に沿って長くつき同形の包膜でおおわれる、(3)格子状の鱗片をもつなどの形質を共有し、科全体としてよくまとまっている(単系統群である)ことは、ほぼ疑いがない。しかし、科の内部構造(科内種間の系統関係)については全くわかっておらず、どのように属を設定すべきかということさえ定説がない。一方、我々がこれまで重点的に研究を進めてきたホウビシダ類は、チャセンシダ科に属する、やはりよくまとまった一群であることは確認できた。しかし、ホウビシダ類がこの大きなチャセンシダ科の他のどの種群と類縁があるか(どの群から進化したか)は不明である。これらの問題を解くために日本産のチャセンシダ科14種について、そのrbcLの塩基配列を調べた。これにすでに決定されているホウビシダ類のrbcLデータも加えて分子系統樹を作成した。 その結果、(1)ホウビシダ類はチャセンシダ科の他の種群と最初に分化した群であり、チャセンシダ科の特定の群から最近分化したものではない。したがってこれを別属にしてもよい。(2)チャセンシダ科の内で特に葉形の特殊なオオタニワタリ(単葉)はヒノキシダと近縁である。(3)葉形は著しく異なるものの、よく雑種をつくるクルマシダとコウザキシダは近縁である。(4)別属にされることもあるコタニワタリは、ホウビシダ類に次いでチャセンシダ科が多様化する初期に分化した種であることなど、興味深い事実が明らかになった。
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Research Products
(1 results)