1993 Fiscal Year Annual Research Report
亜寒帯林における森林衰退現象の実態把握と環境要因の解析
Project/Area Number |
04404011
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大里 正一 東京大学, 農学部(林), 教授 (30011935)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 郁夫 東京大学, 農学部(林), 助手 (70012086)
有沢 浩 東京大学, 農学部(林), 助手 (00012089)
倉橋 昭夫 東京大学, 農学部(林), 講師 (80012087)
山本 博一 東京大学, 農学部(林), 助教授 (70174810)
大橋 邦夫 東京大学, 農学部(林), 助教授 (40203898)
|
Keywords | 亜寒帯林 / 森林衰退 / ヤツバキクイムシ / 人工衛星情報 |
Research Abstract |
本年度の主な研究実績は次の通りである。 1 ヤツバキクイムシの春の飛来の集中性を明らかにするため.20haの若齢林地に18個のフェロモントラツプを設置して調査した結果.ヤツバキクイムシのトラツプ当りの捕獲数は.ほぼランダム分布に適合することを得た。このことからヤツバキクイムシが越冬場所から脱出して寄生の対象となるエゾマツを探して移動する場合.エゾマツ林外では.ほぼランダム飛翔しているものと推測された。 2 エゾマツおよびトドマツの衰退現象には.樹木の水分生理状態の変化が伴っていることが予測されたことから.日中の水ポテンシャルの測定およびP-V曲線法による葉の水分生理特性パラメータの測定を行った。その結果エゾマツ.トドマツともに衰退を示した林分内の個体は衰退程度に関わらず.健全林分の個体に比較して水ポテンシャル値が低く.P-V特性においても水ストレス履歴を示唆するデータが得られた。以上の結果は衰退現象には.水ストレスを生じ易い立地環境条件が関与していることを示しているが測定を更に繰返し衰退程度の異なる個体内の生理状態の差や季節変化についても検討する必要がある。 3 昨年度行ったGSPを用いた被害林分の位置決定の結果を用いて.Landsat TMデータ上でトレーニングエリアの抽出を行った。その結果被害林分と健全林分を明確にリモートセンシングデータ上で分離・抽出可能であることが明らかとなった。 4 天然林トドマツについて樹冠健全度と球果、種子の性状について調査した結果.梢端の疎化が進行すると.その着果数は減少するが球果や種子の性状は健全な個体と比べて劣っていないことが明らかとなった。
|
-
[Publications] 大里 正一: "亜寒帯林における森林衰退現象の実態把握と環境要因の解析(1)" 日林論. 104. 513-514 (1993)
-
[Publications] 露木 聡: "リモートセンシングによる森林資源調査におけるGPSの有効性" 日林論. 104. 271-274 (1993)
-
[Publications] 倉橋 昭夫: "天然林トドマツの樹冠健全度と球果・種子の性状" 日林北支論. 42(印刷中). (1994)
-
[Publications] 仁夛見 俊夫: "天然林の林況と林内気象" 日林北支論. 42(印刷中). (1994)