1992 Fiscal Year Annual Research Report
免疫系細胞の増殖・分化及び癌化に関与する核内因子の機能解析
Project/Area Number |
04404034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 維紹 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (50133616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 久士 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (10222233)
田中 信之 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (80222115)
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Keywords | インターフェロン / 転写因子 / IRF / 細胞増殖 / 癌化 / 白血病 / MDS / 5q欠損 |
Research Abstract |
我々はインターフェロン(IFN)系の転写因子IRF-1及びIRF-2の機能解析を行い、両者は共通のDNA配列を認識し、IRF-1は転写活性化因子、IRF-2は抑制因子としてIFN-α,-β遺伝子並びにIFN誘導遺伝子の発現を制御することを明かとしている。本年度は、IRFの細胞周期における発現をNIH3T3細胞で調べたところ、Glarrest時にIRF-2:IRF-1比の減少がみられ、増殖刺激により増加することが明かとなった。そこで、両因子の比を変動させることでの細胞増殖への影響を調べる為、IRR-2発現ベクターを導入したNIH3T3細胞株を樹立した。得られた6細胞株はいずれも細胞飽和密度の上昇、メチルセルロースゲル内でのコロニー形成、ヌードマウスでの腫瘍形成がみられ、IRF-2がoncogeric poten tialを有することを明かとした。さらにこれらの細胞株はIRF-1ゲノム遺伝子導入によって野生型に復帰することを明かとし、IRF-1のanti-oncogeric poten tialをみいだした。これらの現象は、レトロウイルスを用いた遺伝子導入によっても同様に確認された。 我々はさらに、ヒトIRF-1遺伝子が白血病やMDS患者細胞で高率に欠損の見られる染色体5q31.1に位置することを明かとした。そこで5qに異常の見られた白血病及びMDS患者13例のサンプルで5q31に位置するIL-4,IL-5,IRF-1,CDC25C,GM-CSF遺伝子の欠損をサザンブロット解析により検討した。その結果、IRF-1遺伝子のみがすべての症例に一致して欠損していた。更に、1alleleの欠損に加え、残りのalleleにプロモーター部位の欠損が起こり不活化されたIRF-1遺伝子を持つ白血病の一症例を検出した。また、in situhybridization法により、IRF-1遺伝子両allele欠損が急性白血病症例に主に観られること見い出した。これらのことから、IRF-1欠損と白血病、MDS発症の関連が示唆された。
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[Publications] Nobuyuki Tanaka: "Cytokine Gene Regulation:Regulatory cis-Elements and DNA Binding Factors Involved in the Interferon System." Adv.Lmmunol.52. 263-281 (1992)
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[Publications] Hisashi Harada: "Anti-Oncogenic and Oncogenic Potentials of Interferon Regulatory Factors-1 and-2." Science. 259. 971-974 (1993)
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[Publications] Cheryl L Willman: "Deletion of IFR-1,Mapping to Chromosome 5q31.1,in Human Leukemia and Preleukemic Myelodysplasia." Science. 259. 968-971 (1993)