1992 Fiscal Year Annual Research Report
リヴァースジェネティックスによるハンチントン病の異常遺伝子産物の同定
Project/Area Number |
04404041
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金澤 一郎 東京大学, 医学部(医), 教授 (30110498)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中瀬 浩史 東京大学, 医部学(医), 講師 (80155738)
|
Keywords | ハンチントン病 / 遺伝子連鎖 / 第4染色体 / YACクローン / 連鎖不平衡 |
Research Abstract |
ハンチントン病は、(1)成人発病の舞踏運動、(2)知能・精神障害、(3)常染色体性優性遺伝、という特徴を有する神経変性疾患である。その遺伝性については、突然変異率が著しく低いこと、浸透率がほぼ100%であること、などの特徴がある。この疾患の異常遺伝子座は、22対の常染色体上のどこかに想定されながらも、長い間不明のままであった。それに対して1983年、米国のグゼラ博士らはDNA多型(RFLP)を利用した連鎖解析によりハンチントン病の病的遺伝子座が第4染色体短腕先端部に局在することを証明した。その後、RFLPを呈する遺伝子マーカーが数多く4p16.3領域に見出され、それらを用いて連鎖解析が行なわれたが、我々もプローブの供与を受け検討した結果、特に日本人においては4p16.3領域のうち、第2セグメントのDNAマーカーを用いて時に強い連鎖を示すことを発見した。この事実は、欧米のハンチントン病で明らかにされている点、すなわち組み換え個体で共通にもつ部分のローカスが第2セグメントにあること、連鎖不平衡現象を認めるのは、第2セグメントにローカスをもつ遺伝子マーカーを使った場合のみである、などの事実により支持されている。次に我々は癌研・今井高志博士との共同研究によりこの領域のYACライブラリーを作成し、そのうちで第2セグメントのほぼ中心付近にあるD4S95ローカスを含むYACクローンを用いて、ヒト線条体で作成したcDNAライブラリーの中から、候補遺伝子を見出すプロジェクトを行なった。その結果、D4S181及びD4S95のローカスに極めて近い領域に座位をもつ1.3kbのcDNAを得ることができた。これをハンチントン病の原因遺伝子の候補とみなして、その全塩基配列を決定した。最も長いORFによると、87個のアミノ酸よりなる配列であり、ホモロジー検索の結果からは既知の蛋白とは異なっていた。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Watanabe M,Kondo INissato s,Wakisaka Ikeda J,Kabazawa I: "Studies on 4p16.3 DNA marhers (D4S95,D4S115&D4Slll)in Japanese Huntington's disease families." Jap.J.Hum.Gent.in press.