1992 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内血管における内因性血管活性物質の作用特性とその分子薬理学的解析
Project/Area Number |
04404073
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
伊藤 春生 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (10084716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
季 昌一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60220795)
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60206810)
塗々木 和男 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (90139577)
岡部 栄一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (50097276)
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Keywords | 口腔内血管 / 血管活性物質 / 内皮細胞 / フリーラジカル / 歯周疾患 |
Research Abstract |
口腔内血管の血管作動物質,エンドトキシン,およびフリーラジカルとの相互作用を統合的に研究し,以下の結果が得られた。 1.キニン類とイヌ舌動脈平滑筋: (1)肺動脈,腸間膜動脈および総頚動脈は,ブラジキニン(BK)によって弛緩したが,舌動脈は収縮した。 (2)BKによる弛緩反応は,acetylcholineと同様に内皮細胞依存性であった。 (3)BKによる舌動脈の収縮反応は,内皮細胞非依存性であった。 (4)以上の結果から,BKの舌動脈収縮作用はα-receptor,H_1-receptpor,prostaglandin,Ca^<2+>channelあるいはB_1-kinin receptorを介する反応段階によってもたらされる可能性が示唆された。 2.キニン類とCa^<2+>: (1)BKのイヌ舌動脈収縮作用は,α-受容体antagonistはBKに影響を受けなかった。 (2)電位依存性Ca^<2+>channelに選択性のあるCa^<2+>antagonistはBKによる舌動脈収縮を部分的に抑制した。 (3)BKによる舌動脈収縮は,外液Ca^<2+>除去によりほぼ完全に消失した。 (4)血管平滑筋のNa^+,K^+-ATPase活性の抑制は,BKの舌動脈収縮を増強した。 (5)B_1-kinin antagonistは,BKの舌動脈収縮に影響を与えないか,あるいはむしろ増強させる傾向を示した。 (6)B_1-kinin agonistは,舌動脈を濃度依存性に弛緩させた。 (7)indomethacinは,BKの舌動脈収縮に影響を与えなかった。 (8)以上の結果から,KBの舌動脈収縮作用は,α-受容体作動性Ca^<2+>channelおよびprostagalandins生合成を介する作用ではなく,主として,B_2-kinin受容体作動性Ca^<2+>channelとNa^+-Ca^<2+>交換機構の活性化を介した細胞内へのCa^<2+>流入増大によってもたらせるものであると結論される。 3.ヒスタミンとウサギ舌動脈平滑筋:ヒスタミンは,適出舌動脈標本を収縮させるが,この機構に細胞内Ca^<2+>ストアからのCa^<2+>遊離が関連することを明確にした。さらにヒスタミンによるCa^<2+>遊離はカフェイン類以の機構(Ca^<2+>誘発性Ca^<2+>遊離)を介することをスキンドファイバーを用いて直接証明できた。 4.LPSとフリーラジカル:ESR法によりLPS自身フリーラジカル発生能を有することを確認した。このフリーラジカル種はハイドロキシルラジカルであり,これまで知られているHaber-Weiss反応を介さない新しい機構で発生することの証明がなされた。 以上の研究経過から,LPS投与による病態モデル実験を導入し,平滑筋の反応性について解析できる素地が整った。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Eiichiro Okabe: "Aging and oxygen free radical system:possible role in disease in oral region" Bulletin of Kanagawa Dental College. 20. 159-169 (1992)
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[Publications] Kazu-ichi Yoshida: "Selective impairment of endothelium-dependent relaxation by sevoflurane:oxgen free radicals participation" Anesthesiology. 76. 440-447 (1992)
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[Publications] Kazuo Todoki: "Oxygen free radical-mediated selective endothelial dysfunction in isolated coronary artery" American Jorunal of Physiology. 262. H806-N812 (1992)
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[Publications] Shigeji Tomikawa: "Endotoxin empairs the response of rabbit mesenteric artery to electrical stimulation via a prejunctional mechanism" British Journal of Pharmacology. 107. 826-832 (1992)
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[Publications] Naoaki Suyama: "Pharmacolocical characterization of contractile response to histamine in isolated rabbit lingual artery" Microciuculation annual. 7. 59-60 (1992)
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[Publications] Eiichiro Okabe: "The effect of hypochlorous acid and hydrogen peroxide on coronary flow and arrhythmogenesis in myocardial ischemia and reperfusion" European Journal of Pharmacology. (1993)
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[Publications] Eiichiro Oakbe: "OXGEN RADICALS" K.Yagi(ed)/Excerpta Medica, 4 (1992)
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[Publications] Kazuo Todoki: "OXGEN RADICALS" K.Yagi(ed)/Excerpta Medica, 4 (1992)