1993 Fiscal Year Annual Research Report
高等動物由来非膵臓型ホスホリパーゼA_2の多様性と機能
Project/Area Number |
04404081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 洋由 東京大学, 薬学部, 助手 (40167987)
梅田 真郷 東京大学, 薬学部, 助手 (10185069)
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
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Keywords | ホスホリパーゼA_2 / PAF / 酸化脂肪酸 / リポポリサッカライド / TNF |
Research Abstract |
1)カルシウム非依存的ホスホリパーゼA2:我々は、これまでに、酸化脂肪酸鎖を持つリン脂質あるいは血小板活性化因子(PAF)のアセチル基を選択的に分解するホスホリパーゼA2が、ウシ脳の可溶性画分に比較的多く存在することを見出していた。今回、この酵素の精製に成功し、分子量29、30、45kDaの3つの異なるサブユニットからなるヘテロトリマー構造をとる新規の酵素であることを明らかにした。またこの酵素は、正常な長鎖脂肪酸を持つリン脂質には全く作用せず、しかも従来のホスホリパーゼA2のコファクターであるカルシウムイオンを全く要求しなかった。以上のように、本酵素は、構造、基質特異性、コファクター要求性の点から従来知られているホスホリパーゼとは全く異なる酵素である事が明らかになった。 2)カルシウム依存的ホスホリパーゼA2:ラットにリポポリサッカライドを投与することで全身炎症を惹起し、各臓器でのホスホリパーゼA2アイソフォームのパターンを検討し、脳と肺で大きく増加することを観察した。即ち正常な脳では、分泌型のII型ホスホリパーゼA2とアラキドン酸親和性の85kcPLA2が主要であった。しかし、リポポリサッカライド処理脳では、cPLA2の発現量が顕著にへり、分子量が60KのホスホリパーゼA2が新しく出現してきた。60K酵素は低濃度カルシウムイオン感受性で、アラキドン酸に選択性を示した。脳由来60KPLA2が、昨年培養繊維芽細胞をTNF刺激することで誘導した酵素と同一であるか、この酵素が炎症反応でどのような役割を果たしているか現在検討中である。
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[Publications] 須賀比奈子 他: "Participation in cellular prostaglandin synthesis of typeII PLA_2" Eur.J.Biochemistry. 218. 807-813 (1993)
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[Publications] 藤守由美 他: "Characterization of lysophospholipase cctivity expressed by cPLA_2" Eur.J.Biochemistry. 218. 629-635 (1993)
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[Publications] 村上誠 他: "Triggering of degranulation in mast cells by typeII PLA_2" J.Immunology. 151. 5675-5689 (1993)
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[Publications] 朝丘 他: "Possible role of typeII PLA_2 in T-lymphocyte activation" Proc.Natl.Acad.Sci. 90. 716-719 (1993)
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[Publications] 村上誠 他: "Molecular nature of PLA_2 involved in PGI_2 synthos's in HUVEC" J.Biol.Chemistry. 268. 839-844 (1993)