1994 Fiscal Year Annual Research Report
高等動物細胞由来非膵臓型ホスホリパーゼA_2の多様性と機能
Project/Area Number |
04404081
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 淳賢 東京大学, 薬学部, 助手 (20250219)
新井 洋由 東京大学, 薬学部, 助教授 (40167987)
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Keywords | ホスホリパーゼ / 血小板活性化因子 / 酸化リン脂質 / セリンエステラーゼ / PAF受容体 / ヒト無脳回症 / WD-40リピート / 脳 |
Research Abstract |
高等動物細胞内ホスホリパーゼA2のなかで、本年度は特に、カルシウムイオン非要求性の酵素について解析を進めた。動物組織内には、正常なリン脂質は分解しないが、酸化開列した脂肪酸鎖や短鎖脂肪酸鎖を選択的に切り出すカルシウムイオン非要求性のホスホリパーゼA2が存在することを見出した。この酵素を脳から精製したところ、まず精製過程で3つのアイソフォームが存在することがわかった。さらに、そのひとつを完全精製したところ、ヘテロトリマ-構造を有する酵素であることがわかった。これは、ホスホリパーゼがコンプレックスを形成していた初めての例である。さらに、それぞれのサブユニットのcDNAクローニングを行ったところ、ひとつのサブユニットがごく最近同定された、ヒト脳回(脳のしわ)欠損症の原因遺伝子と同一であることが判明した。この遺伝子は、患者家系の解析から同定された遺伝子であったが、その機能は全く不明であった。本研究により、それがホスホリパーゼA2のひとつであることが明らかになった。 また、本酵素の触媒サブユニットのクローニングの結果、これが、新規のセリンエステラーゼであることも分かり、酵素学的にもユニークなものであった。また、活性中心に近くには、リン脂質性メディエーターである血小板活性化因子(PAF)に対する細胞表面受容体との相同ドメインがあることが判明した。本酵素は、PAFの2位に結合したアセチル基を分解する活性が高く。PAFの分解制御が本酵素の生理的機能と考えられた。
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[Publications] Hattori,M.: "Miller-Dieker lissencephaly gene encodes a subunit" Nature. 370. 216-218 (1994)
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[Publications] Inoue,K.: "PAF acetylhydrolase from mammalian tissues" J.Lipid Mediators. 10. 13-16 (1994)
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[Publications] Hattori,M.: "The Catalytic Subunit of Bovine Brain Platelet-activating factor" J.Biol.Chem.269. 23150-23155 (1994)
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[Publications] Shikano,M.: "Complete discrimination of docosahexaencoate from arachidonate" Biochion,Biophys,Acta. 1212. 211-216 (1994)