1994 Fiscal Year Annual Research Report
bcl-2のアポプトーシス制御機能の細胞周期依存性と神経系細胞での機能の解析
Project/Area Number |
04404093
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻本 賀英 大阪大学, 医学部, 教授 (70132735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 真司 大阪大学, 医学部, 助手 (20243214)
恵口 豊 大阪大学, 医学部, 助手 (20243206)
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Keywords | bcl-2遺伝子 / アポトーシス / プログラム細胞死 |
Research Abstract |
bcl-2がん遺伝子は、他のがん遺伝子とは異なり細胞死(アポトーシス)を抑制する活性を示し、がん遺伝子の中でもユニークな存在になっている。この研究課題の平成6年度の目的は、神経細胞におけるbcl-2の機能の解析とbcl-2欠損マウスの解析及び生化学的機能の解析である。 神経細胞におけるbcl-2の機能を解析する目的で、ヒトbcl-2をニューロン特異的enolase(NSE)プロモーターの下流につないだコンストラクトを用い神経細胞でbcl-2を過剰発現するトランスジェニックマウスを作成した。得られたマウス()は外敵障害による神経細胞死対し有意に抵抗性を備えていることが判明した。すなわち、新生児マウスの顔面運動神経を切断すると、数日後に神経細胞が脱落するがbcl-2トランスジェニックマウスではこの細胞死がほぼ完全にブロックされていた。このことは神経細胞死を伴う神経疾患の治療に対しbcl-2応用の可能性があることを示しており重要な実験動物になると思われる。 平成5年度に作成したbcl-2ノックアウトマウスのより詳細な解析を行ない、特にbcl-2の生化学的機能を明らかにする点で重要と思われた毛の白色化現象に焦点を合わせた解析を行なった結果、白髪化はメラノサイトの消失によるもので従来から提唱されているようなメラニン合成の異常の結果ではないことを証明した。この成果は下記の無酸素系からの結果と一致するものである。平成5年度に作成したPC12細胞株を用い無酸素下で誘導される細胞死の解析を行なった。bcl-2の生化学的機能ては、抗酸化経路での機能が最も有力なモデルであるが、無酸素下で誘導される細胞死をbcl-2が効率よく抑制することとその系に活性酸素が関与しないことを実証することでbcl-2/抗酸化経路での機能のモデルを否定することが出来た。
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[Publications] Dubois-Dauphin,M.: "Neonatal motoneurons overexpressing the bcl-2 protooncogene in transgenic mice are protected from axotomy-induced cell death." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.91. 3309-3313 (1994)
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[Publications] Kamada.S.: "Bcl-2 deficiency in mice leads to pleitropic anbormalities;accelerated Lymphoid cell death in thymus and spleen,polycystic kidney,hair hypopigmentation and distorted small intestine." Cancer Res.55. 354-359 (1995)
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[Publications] Shimizu,S.: "Bcl-2 and Bcl-xL prevent cell death induced by cxygen depietion" Nature. (in press). (1995)