1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04451012
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
水田 徹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30055917)
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Keywords | パルテノン / メトープ / フリーズ / ニケ / アテナ・パルテノス / パン・アテナイア / ケンタウロマキー |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画1、2、3、につき、以下のような知見が得られた。 1.パルテノン神殿の南メトープ・ケンタウロマキー図浮彫板24面を、構図・様式・図像の三点から分析した。その結果、これを現況のように1〜12、21〜32(数字は浮彫板番号、13〜20の8面は別テーマ)という配列で一列に並べるよりは、これを各々折半してその前半と後半を交互に入れ替えた新たな配列、すなはち1〜6、27〜32および7〜12、21〜26の順に2列に並べた方が、統一的な全体構成および共同作業の手順という観点からみて、明らかに理に適っていることが確認された。従ってこれら24面の浮彫板は現況のように配置される直前までは、同神殿のいずれか別の、相呼応する2つの場所に分けて配置するべく作業が進められていた可能性が極めて強い。その場所として挙げられるのが同神殿内陣正・裏面の列柱上である。周知のように現在、同箇所にはフリーズ浮彫板が置かれているが、それを支える水平部材には、本来メトープ装飾用のレグラが施されている。恐らくこの部分まで工事が進んだ段階で同箇所はフリーズで飾ることは計画変更され、個々のメトープ板としてすでに完成していたケンタウロマキー図24面は、新たに刻んだ別のテーマの8面を加えて、南列柱上にいわば“流用して"現況の位置に配置されたと考えられる。 2.ニケ像のタイポロジーとして、酒瓶を手に人間とともに祭犧に参加する姿が前5世紀後半に瀕出することが確認された。但し葉冠を手に祝福するタイプも頻度高く並存すること等、なお詳しい分析が必要である。 3.フリーズ浮彫に関しては、バーゼルのパルテノン研究所に赴き、本研究の最終目的である東フリーズとニケ像との図像上の結びつき、ひいては本神殿の真の建造目的について、調査と意見交換をおこなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 水田 徹: "前5世紀後半におけるニケ像のタイポロジー" 造形芸術学・演劇学. 1. (1993)
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[Publications] Akira MIZUTA: "Parthenonfries und Athena Parthenos" 未定, 90 (1994)