1992 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおける自発活動の遺伝的基盤と学習下の変容過程
Project/Area Number |
04451017
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
牧野 順四郎 筑波大学, 心理学系, 教授 (60015443)
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Keywords | 行動遺伝学 / 回避学習 / 近交系マウス |
Research Abstract |
本年度は、2近交系マウスを用いてオープンフィールド行動の遺伝様式を検討する予定であったが、諸般の事情から次年度に延ばし、平成5年度の研究計画の一部を実施した。平成4年度に行なわれた研究は以下の通りである。研究は2つの実験から成る。すなわち、(1)4近交系マウスのシャトル箱での電撃対処反応の変化を電撃強度を様々に変えて検討し(実験1)、次に(2)系統により、また強度により対処反応の型が異なる弱・中・強電撃強度を選んで、シャトル箱における能動的回避学習を行なわせた(実験2)。 実験1の結果、電撃強度が微弱な時には、マウスは四肢を引っ込める反応や後ずさりなど、小さな運動反応を多く示すが、電撃強度が増大するにつれて、隣室への逃走やジャンプなどの大きな運動反応を示すように変化した。しかし、これは系統によって異なり、C57BLは電撃強度に関わらず逃走しか示さないのに対し、C3Hは、0.14mA電撃を境にジャンプを多く示すよう対処反応型を変化させた。残りのDBAとBALBはその中間の様相を呈した。実験2では、0.14mA電撃を挟んでそれよりも強い、あるいは弱い電撃を用い、走行反応型でも立ち上がりやジャンプでも電撃を回避できる2反応自由選択型の能動的回避学習を行なった。その結果いくつか少数の例外を除き、予想された通り、C57BLは電撃の強弱に関わらず走行反応型で回避を学習した。一方、C3Hは弱電撃では走行反応で、中・強電撃強度ではジャンプ型で電撃を回避した。 これらの結果は、先の研究(堤・牧野,1986,1990)結果で示唆したように、各系統は生得的に複数の電撃対処反応を持ち、電撃回避はそのどれかの反応型を優先的に利用することを再確認するものであり、さらに、対処反応の型がどれになるかは、電撃強度に依存することを示唆するものである。
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