1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04451020
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
御領 謙 千葉大学, 文学部, 教授 (70008960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江草 浩幸 千葉大学, 文学部, 助手 (90168774)
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Keywords | 読書 / 書字 / 変換視 / 逆転視 / 知覚-運動協応過程 / 知覚的順応 / 眼球運動 / 高次認知過程 |
Research Abstract |
人間の認知過程を安定した知覚的世界を成立させる知覚-運動協応過程と成立した知覚的世界の中での高次認知活動とに2分する考え方がある。本研究の目的は、読み畫き行動と視覚運動協応動作の実験的観察をとおして上記の考え方の妥当性を検討するとともに、両者の交互作用の在り方を探ることである。具体的には、通常の視覚-運動協応関係が破壊された事態での読み畫き行為の再適応過程を組織的に観察する。 そのために、上下左右逆転眼鏡を長期装着させ、このような事態での異種感覚情報の再統合、再構造化の経過を眼球運動なども含めた客観的指標を用いて分析し、見えの世界の変容過程についての体験報告との対応をみる。本年度は以下の作業を行なった。1)着用のまま眼振図が計測可能な、上下左右逆転眼鏡を2組作成し、それを2名の大学生に12日間にわたって着用させた。就寝時と休息時にアイマスクをさせた以外は上記の眼鏡を着用し続けた。2)できるだけ自然な状態における読書と書字の訓練を行なわせるために刺激文章を書いたカードを手に持たせて読ませる訓練を毎日約30分行なわせた。また聞き書きの訓練も約20分づつ行なわせた。3)デイスプレー上に突然あらわれる標的を腕を延ばして指で触る標的指示動作検査を眼鏡着用開始前、着用開始直後、終了直前、終了直後に行なった。タッチパネル内蔵のモニターによる刺激提示と反応計測を行なうと同時に、CCDカメラとコンピュータによる手の移動軌跡と移動速度の計測を行なった。4)線図形およびランダムドットを用いたステレオグラムによる立体視の変容過程を調べた。5)眼振図により眼球運動の変容過程を調べた。 上記の実験結果は筆者らの前提とする仮定をほぼ支持するものであったが、詳細な分析と吟味、報告書の作成を現在行なっているところである。
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