1992 Fiscal Year Annual Research Report
脳死のパブリック・アクセプタンスの構造とその受容過程:longitudinal研究
Project/Area Number |
04451023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 冨雄 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10026742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉万 俊夫 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10135642)
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Keywords | 脳死 / パブリック・アクセプタンス / 認知と感情 / 生体移植 |
Research Abstract |
現在、わが国でもっとも国民世論の分裂している社会問題の一つは、脳死と生体移植に対する態度である。これまでに出版された論文や書物をみても、脳死問題に対して世論をリードすべき立場にある医学者、法曹家、宗教家の間でさえ、合意が成立していない。 本研究の第1の目的は、このように分裂した世論の背後にどのような心理的・社会的要因があるのか、その要因構造を明らかにすることである。第2の目的は、分裂した世論が、時間の経過とともにどのように収歛していくかを明らかにすることである。第1の目的である脳死の要因構造も、このような時間軸を考慮にいれた変化の中で、より明らかにされることが期待される。 本年度は、時間軸上の第1回目の調査として、大阪府民を対象とする社会調査を実施した。母集団は大阪府民、層化二投抽出法により千名のサンプルを抽出した。このサンプルに対して、質問紙法による調査を行った。方法は、郵送留置、訪問回収による。 質問紙の項目には、西欧的合理主義vs東洋的精神主義の尺度、心身一元論vs二元論、自然の摂理尊重的態度vs科学技術尊重的態度、死に対するイメージ、死体に対する観念(モノとみるか仏とみるか)、医師の倫理感への信頼度、愛他心などが含まれている。 回収されたデータは目下分析中であるが、明年度以降も引続いて第2回の調査を実施し、時間軸の中で何が変り何が変らないかという点から、要因構造を解明する予定である。
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