1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04451024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
待田 昌二 大阪大学, 人間科学部, 教務職員 (00222290)
今川 真治 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00211756)
金澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助手 (60183886)
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40030043)
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Keywords | ニホンザル / 母性行動 / 世代伝承 / 恒常性 / 子育て |
Research Abstract |
野外集団における観察 岡山県真庭郡勝山町完場に生息する野生ニホンザル集団において、10歳から25歳までのメスを対象として、これらの子育て行動を観察し、分析した。従来、メスの社会的優劣順位、出産歴(特に、経産な初産か)、さらに子ザルの性が母ザルの子育てに大いに関与することが知られていた。しかし、これまでの観察資料に今回の観察資料をあわせて分析すると、同じ血縁系統に属する母ザルの子育ては比較的類似していることが示唆された。つまり、姉妹や、母と娘など血縁度が近いメスの子育ては比較的近似していることが確認された。これは、一生涯に10頭前後の子ザルを出産し、子育てするニホンザルメスは、毎回比較的類似した子育てを行い、さらに、そのようにして育てられた姉妹も同じように子育てする可能性がうかがえるのである。 実験室における観察 大阪大学人間科学部比較行動実験施設において飼育されているニホンザルメスについても、野外場面と同様に、子育て行動を観察した。それぞれのメスの子育てパターンは、密着型、疎遠型などのように、安定しており、子ザルの成長に伴っても、それらのパターンにゆらぎは少なく、恒常的であることが確認された。このような個体レベルでの恒常的な子育てパターンを土台として、子育ての世代伝承が成立すると解釈される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Itoigawa: "Social conflict in adult male relationships in a free-ranging group of Japanese monkeys." Mason & Mendoza eds.“Primate Social Conflict". 145-169 (1993)
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[Publications] M.Nakamichi et al.: "Behavior and serum cortisol in infant Japanese monkeys following maternal separation and grouping of infants" XIVth Congress of International Primatological Societies,Proceedings.(in press).
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[Publications] 南徹弘: "たくましい社会性を育てる" 繁多進・二宮克美編著 有斐閣(印刷中),
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[Publications] 南徹弘: "サル類の行動発達" 東大出版会(印刷中),