1992 Fiscal Year Annual Research Report
認知と感情・情動:認知システムに及ぼす感情・情動の影響
Project/Area Number |
04451031
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大山 正 日本大学, 文理学部, 教授 (50008942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板垣 文彦 亜細亜大学, 教養部, 講師 (10203077)
内藤 佳津雄 日本大学, 文理学部, 助手 (30246798)
山本 麻子 日本大学, 文理学部, 助手 (70200780)
横田 正夫 日本大学, 文理学部, 構師 (20240195)
厳島 行雄 日本大学, 文理学部, 助教授 (20147698)
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Keywords | 認知システム / 感情 / 感情操作 / 文字検索課題 / 拍動検出力 / 乱数生成法 / 言語情報処理 / 核活動モデル |
Research Abstract |
人間の認知システムに感情,努力,信念といった精神活動を組み込むような研究,理論構築の重要性が強調されてきている. 本研究では,認知と感情/情動の関わりを多面的に検討し,新しい概念の枠組みを提出し,それを検討することを目的としている. 本年度行った研究の概略とその成果は,以下の通りである. 1)Veltenが開発した感情操作の方法の標準化を行った.この方法は,実験室実験での感情操作を可能とする方法である.本方法は文章課題を用いており,日本版はない.これらの課題を翻訳,日本での使用に適した形に修正し,大学生を対象として標準化した.この結果,来年度行う実験室実験での個別実験に適用が可能となった. 2)鬱病,分裂病患者の知覚範囲を文字検察課題を用いて調べた結果,独特な認知様式を形成していることが明かとなった。 3)身体反応の認知では、拍動の知覚と認知を測定した。被験者の半数以上が,中程度以上の拍動検出力を示していた.また,拍動の検出力が高い者の方が,日常生じる身体反応にも敏感であり,主観的健康感が低いことが明かとなった.これらのことから,身体反応の知覚と情動(今回は主観的健康感)間のフィードバックループの可能性が示唆された. 4)乱数生成法を用いた創造性の情動操作前のコントロールデータの収集が行われ,標準的評価基準の設定が可能となった. 5)言語情報処理の過程と感情との関連性を明確にするための理論的,方法論的検討を行うと共に,実験装置の開発を行った. 以上の成果をもとに,感情が知覚,空間認知,記憶などに及ぼす影響を説明する核活動モデルを概念的に記述するとともに,感情操作法の適用範囲と限界についても,個別実験を行う前段階として検討した.
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