1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04451036
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Research Institution | KYOUTO UNIVERSITY OF EDUCATION |
Principal Investigator |
松下 武志 京都教育大学, 教育学部, 教授 (20004062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 義教 福岡工業大学, 工学部, 教授 (30104813)
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Keywords | 断酒会 / 飲酒行動 / アルコール依存症 |
Research Abstract |
平成5年度は、前年度の調査結果を踏まえ、飲酒文化と飲酒行動との典型的な対応パターンに焦点をあてながら、その時代的、地域的、世代的特徴をさぐり、本調査全体の取りまとめを行った。 本年度のわれわれの調査では、対応パターンを見ていく視点を、家族を持った成人男子から、家族を持たない成人男子に移行した。単身者アルコール依存症の増大現象が現代社会の時代的課題にのぼってきていたからである。こうした課題に日本で最も積極的かつ先進的に取り組んでいる島根県新生園のケースを集中的に調査した。 さらに、病的な飲酒行動を集団的に克服していく途上において発生する、自助組織の成長と分裂の過程を、それが典型的に散見された仙台市の断酒会の歴史を追跡することによって明らかにした。 これらの調査結果から次のような新しい知見が得られた。第1に、飲酒行動のマイナス効果が、従来は所帯者、低階層、高齢世代に偏在していたのが、最近はそれが単身者、中流層、青年世代へと拡散し始めている。第2に、病的飲酒行動の克服過程においては、一般会員の断酒意志とリーダーの指導意欲が適合しない場合、およびリーダー間における指導方針の不一致が存在した場合には、自動組織の活動は停滞したり、組織の分裂が生じる。
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