1993 Fiscal Year Annual Research Report
脱産業化段階における大都市再開発モデルの社会学的分析-とくに再開発モデルの文化的、民族的複合性を中心として-
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04451044
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
奥田 道大 中央大学, 文学部, 教授 (10062564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 徹男 立教大学, 社会学部, 助手 (70239226)
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Keywords | 大都市再開発モデル / 21世紀型市街地居住 / アジア系外国人 / 「在日」韓国・朝鮮人 / オールド・セッツラーズ / 大阪市生野区 / 荒川・日暮里地区 / 重層的生活空間 |
Research Abstract |
平成4年度においては、例えばアメリカ大都市の市街地再開発モデルとしてエスニック・コミュニティの21世紀システムとも相〓比較できる形での日本の大都市のエスニック・コミュニティの実態調査と概念化についての成果を得ることができた。 1.1988年以降のニューカマーズとしてのアジア系外国人居住者の大都市定住化の新実態については、東京・豊島区、新宿区を中心に分析が進められたが、平成5年度では地域社会の歴史的存在としての在日韓国・朝鮮人のオールド・セッツラーズに焦点が合わされた。資料収集とヒヤリング調査では、前年度にひき続いて、広島市基町、大阪市西区、生野区その他が選ばれたが、これらの調査地では原爆スラム、ブラック・マーケット、外国人居留地(雑居地)と系譜を異にしながらも、在日韓国・朝鮮人、中国人を中心とする歴史的重層性ある複合的エスニック・コミュニティの存在性を典型事例として検証することができた。 2.平成6年度につなぐもう一つの実績としては、東京・荒川区日暮里地区調査の成果がある。日暮里地区は大阪市生野区、川崎市桜木地区と並んで済州島出身の在日韓国・朝鮮人が多数派を占める地域社会として知られているが、日本人居住者と微妙な境界と距離(Terrritorality and Distancing)を維持しながらも住み合う多民族的、多文化的市街地居住の有力なモデルが得られた。在日一世、二世、三世の個別面接調査では、従来の「在日」像を刷新する回答が示されている。とくにオールド・セッツラーズとしての在日一世のカテゴリーには、ニューカマーズとしての20、30歳台の韓国人居住者が同じ第一世代(First Generation)として含まれ地域社会内での双方の結び合いの事実が明らかになった。こうした歴史的、空間的重層性を持つコミュニティの実態を介して、21世紀システムとしての市街地再開発モデルの呈示が具体的に可能となった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 奥田 道大: "現代大都市のエスニック・コミュニティの系譜と諸類型-都市社会学的考察-" 中央大学文学部(社会学科)紀要. 152号(通巻)(1994・4刊行予定). 1-23 (1994)
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[Publications] 奥田 道大: "現代都市のエスニック・コミュニティ" 鈴木広編『現代都市社会論』(ミネルヴァ書房刊). (1994・5刊行予定). 30-50 (1994)
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[Publications] 奥田 道大: "都市コミュニティとエスニシティ認識を主要テーマとして" 日本都市住宅学会編『都市住宅学』. 第5号. 25-30 (1994)
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[Publications] 水上 徹男: "グローバル・マイガレーション時代と統合政策転換の社会学的含意" 日本都市社会学会年報. No.11. 65-67 (1993)
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[Publications] 水上 徹男: "異文化社会適応の調査に関する一考察" 日本社会学会編『社会学評論』. 第45巻. (1994)
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[Publications] 奥田道大他: "調査報告書『在日韓国・朝鮮人の生きかた-東京・荒川日暮里の調査記録-" 中央大学文学部奥田研究室, 65 (1994)
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[Publications] 奥田 道大他: "外国人居住者と日本の地域社会" 明石書店, 350 (1994)