1992 Fiscal Year Annual Research Report
近世対外貿易に関する計数史料の集成的研究ー日本側史料に限定してー
Project/Area Number |
04451074
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 質 九州大学, 文学部, 教授 (50069457)
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Keywords | 貿易関係計数史料 / 貨物改帳 / 値組帳 / 輸入品目と数量 / 取引単価 / 史料公開の制限 / 通航一覧 / 唐蛮貨物帳 |
Research Abstract |
1.国内所在の計数史料を、刊本・未刊を含め、長崎貿易・朝鮮貿易・琉球貿易・密貿易の4部に分類し、それぞれを輸入貿易・輸出貿易・決済および長崎会所会計・国内流通に分類した。 2.本年度は、輸入貿易(平戸・長崎における唐蘭・ポルトガル・イスパニア関係)のうち、A差出帳・B荷物改帳・C直組帳・D代物替帳の入力(約500頁分=400,000字)を終った。史料名では『通航一覧』『続通航一覧』『唐蛮貨物帳』所収分、および未刊の直組帳(津田秀夫本・長崎県立図書館本)、寛文期・寛保2・宝暦11〜13、安永2、文化7〜13年の荷物改帳など、未刊83点の入力と校正を終った。 3.今後は落札帳・引合帳(決済書)・落札荷物造建御届書等の輸入関係、その他が残っており、来年度に入力の予定である。 4.本年度の作業のいま一つは、大阪市杏雨書屋・天理市天理大学図書館等での史料発堀である。杏雨書屋には幕末期の薬種取引関係の貴重史料が多く、本研究に欠かせないものであるが、筆写しか許されず(目下のところ撮影および発表も許されていない)時間と費用のロスがおびただしい。漸次交渉して改善をはかりたい。天理図書館所蔵史料は大坂山本屋の唐物売買史料で、国内流通の実態・価格等が知られる貴重史料であるが、未整理で他見禁止となっている。特別に閲覧を許されてはいるが、先ず整理・目録化が閲覧許可の条件であり、目下整理に追われている(時間的ロスも大きい)。こうした時間的・経済的制約が大きいが、漸次改善されるものと楽観している。
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[Publications] 中村 質: "近世日朝私貿易諭の再検討" 『韓国史学論叢』下(永邨朴永錫教授華甲紀念論叢刊行委員会). 下. 771-785 (1992)
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[Publications] 中村 質: "地方史研究と鎖国" 『異国と九州』地方史研究協議会編 雄山閣. 129-150 (1992)
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[Publications] 中村 質: "貿易商品と国際分業" 『アジアのなかの日本史』III 海上の道. 147-171 (1992)
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[Publications] 中村 質: "王辰丁西倭乱の被虜人の軌跡ー長崎在住者の場合ー" (韓国)『韓国史論』(韓国国史編纂委員会). 22. 165-186 (1992)
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[Publications] 中村 質: "エヴオラの博多商人史料(近刊)" Museum Kyushu. 42号. (1993)
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[Publications] 中村 質: "(書評)太田勝也『鎖国時代長崎貿易史の研究』(近刊)" 日本史研究. 3月号. 127-134 (1993)