1993 Fiscal Year Annual Research Report
世界のグローバル化と中央-地方関係の再編成-比較政治学的分析-
Project/Area Number |
04451102
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Research Institution | HIROSHIMA UNIERSITY |
Principal Investigator |
高城 和義 広島大学, 法学部, 教授 (00085953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森邊 成一 広島大学, 法学部, 助教授 (50210183)
林 忠行 広島大学, 法学部, 教授 (90156448)
野原 光 広島大学, 法学部, 教授 (40085999)
川崎 信文 広島大学, 法学部, 教授 (60152948)
山本 隆基 広島大学, 法学部, 教授 (70036078)
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Keywords | 比較政治 / 中央-地方関係 / 連邦制 / リージョナリズム / グローバリゼーション / 地方自治 |
Research Abstract |
本研究は、世界のグローバル化が進行しつつある現代世界において、各国民国家内で展開しつつある中央-地方関係の再編成を、比較政治学的に分析したものである。その結果、つぎのような新たな知見をうることができた。 1.アメリカにおいては、レーガン政権以降の新連邦主義の動きがさらに加速され、大幅な自立性を獲得しようとする新州権主義を基礎として、州と連邦との新たな関係を設定しようとする、連邦再編が問題とされていること。2.カナダにおいては、ケベック独立を阻止するために、ケベック州に大幅に譲歩した連邦憲法改正案がついに否決され、かえって西部諸州のリージョナリズムを加速される結果となっていること。3.フランスでは、1986年の議会選挙以降、市町村・県の上にたつ第三の自治体として、「地域圏」が発足したが、これによって、中央-地方関係は、新たな再編問題をかかえるにいたったこと。4.チェコスロヴァキアにおいては、1992年末に連邦制が解体し、急速な国際資本主義経済体制への移行にともなって、地域格差が拡大し、中央と地方との権限配分問題をめぐる妥協を不可能とするにいたっていること。5.日本とアメリカの産業政策に目を転ずるならば、国境をこえた経済のグローバリゼーションが、逆にローカリゼーションを強化するという側面を含んでいること、このグローカリゼーションが、各国の中央-地方関係の新たな再編を要請するにいたっていること。 総じて、現代世界においてグローバリゼーションが急速に進行する一方で、欧米においても東欧や日本においても、新たなリージョナリズム運動が急速に台頭していること、しかしながらそれらを包み込んだ新たな国民国家統合は困難を極めていることが、本研究の結果として、具体的に明らかにされた。
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[Publications] 川崎 信文: "フランスにおけるリージョナリズム" 『リージョナリズムと広域行政システムに関する比較研究』(総務庁長官官房企画課刊). 39-96 (1993)
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[Publications] 川崎 信文: "フランスにおける地域圏(Region)の現状と課題(一)" 広島法学. 16-3. 125-146 (1993)
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[Publications] 林 忠行: "チェコスロヴァキアにおける政党政治の再編と連邦の解体-1989-92年" ロシア研究. 16. 84-107 (1993)
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[Publications] 林 忠行: "ソ連・東欧圏の成立と冷戦" 細谷千博他編『ポスト冷戦後の国際政治』(有信堂). 43-60 (1993)
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[Publications] 林 忠行: "東欧の再編-冷戦後の分離と統合-" 細谷千博他編『国際政治の世界-21世紀国際システム』(有信堂). 212-220 (1993)
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[Publications] 林 忠行: "EC・NATO加盟へ結束する「中欧」四ケ国" 世界週報. 10月30日号. 40-45 (1993)
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[Publications] 野原 光: "日本の「フレキシブル」生産システムの再検討" 社会政策学会年報『現代日本の労務管理』(御茶水書房). 77-98 (1992)
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[Publications] 野原 光: "Reconsidering the Japanese Production System Model" 広島法学. 16-3. 1-29 (1993)
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[Publications] 森邊 成一: "志村源太郎の農政構想と政党政治" 名古屋大学『法政論集』. 154(予定). (1994)
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[Publications] 高城 和義: "アメリカ政治理論史への関心の高揚-アメリカ政治学の現状と課題(一)" 広島法学. 16-3. 97-123 (1993)
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[Publications] 高城 和義: "ガブリエル・アーモンドとシカゴ学派(一)(二)" 広島法学. 17-1, 17-2. 147-179, 243-270 (1993)
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[Publications] 高城 和義: "中期アーモンドの理論形成過程(一)(二)" 広島法学. 17-3, 17-4(予定). 45-89 (1993, 1994)
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[Publications] TAKAGI,Kazuyoshi: "The Present Position and Prospects of Political Science in the U.S." HIRODAI-UNDIP of Law and Political Review. 1. 71-86 (1993)
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[Publications] TAKAGI,Kazuyoshi: "The Development of Talcott Parsons Renaissance" HIRODAI-UNDIP of Law and Political Review. 1. 87-98 (1993)
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[Publications] 高城 和義: "国際的責任をになうための学問的努力-中期アーモンドの理論形成(その二)" 名古屋大学『法政論集』. 154(予定). (1994)