1993 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本整備の財源調達と支出分析:実験経済学によるアプローチ
Project/Area Number |
04451111
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西條 辰義 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (20205628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ターンブル スティーブン 筑波大学, 社会工学系, 講師 (90240621)
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Keywords | 談合 / 指名競争入札 / 一般競争入札 / 制限付き一般競争入札 / 共有地の悲劇 |
Research Abstract |
本年度は談合に関する実験を行った。指名競争契約方法を模倣する環境を実験室で作り、被験者が実際に入札を行った。被験者の間で会話が許容されない場合には、競争価格の周辺で落札価格が決定される。一方、被験者の間で会話が認められた場合、落札者を被験者の間で順番に回し、予定価格を探る行為が観測された。数回の入札の後、予定価格周辺で落札価格が決定された。指名競争入札者の人数(3人か7人)および落札価格の公開、非公開は落札価格にほとんど影響を与えていないことも確認した。(論文(1))。 制限付き一般競争契約を模倣する実験においては、3人の入札者が入札している状況に途中から9人の入札者が加わる環境を設定した。人数が多くなることにより、各参加者で落札者を順番に回すという方法から、じゃんけんで決めるないしは一人の入札者のみが落札し後で利得を分配するなど談合の形態が変化した。後に加わる9人の中に一人だけコストの低い入札者がいる場合には落札価格が下がることも観測した。また、何回実験をするのかを被験者に知らせない場合には、談合をするとペナルティがかかるのではないかとう推測を被験者がしたために落札価格が下がる傾向があることも認めた(論文(2))。 さらには、共有地の悲劇を模倣する実験において、極端な不安定性が海外の実験で認められていたが、被験者が3人の場合は安定的、それを超えると不安定になることを実験と理論の両方の側面から確認した(論文(3))。 なお、昨年の科研費で構築したコンピューター・ラボにて本格的に実験が開始したことを付記しておく。 理論については、論文(4)、(5)を発表した。 (1)Saijo,Une,and Yamaguchi,““Dango"Experiments,"ISEP D.P.576,Univ.of Tsukuba,1994,27 Pages.(2)宇根・西條、「談合実験:制限付き一般競争入札の有効性」、ISEP D.P.565,Univ.of Tsukuba,1994,56 Pages.(3)Ikeda,Saijo,and Une,“Stability in Common-Pool-Resource Experiments,"mimeo.,1994(4)Saijo,Tatamitani,and Yamato,“Toward Natural Implementation,"ISEP D.P.538,Univ.of Tsukuba,1993,48 pages.(5)Ito,Saijo,Une,“Tragedy of the Commons Revisited:Identifying Behavioral Principles,"ISEP D.P.537,Univ.of Tsukuba.1993,12 pages.
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Research Products
(1 results)